ケーキやプレゼントなどと共にクリスマスの必需品といえるのが、ムードをグッと盛り上げてくれるクリスマスツリーだ。家具・インテリア大手のニトリが販売する「ハーフツリー」が、SNSなどで「合理的すぎる」「日本の住宅事情にぴったり」としてバズり、大きな注目を集めている。
クリスマスツリーは、アメリカなどの海外では本物のもみの木などを利用することが多く、米国での市場規模は2020年時点で年間2000億円以上に達している。しかし、日本は人工樹のツリーが大半で定期的に調査されるほどの市場規模がなく、海外ほどの盛り上がりはない。その大きな理由としては、日本特有の「住宅の狭さ」があり、海外のように大きなツリーを室内に置くわけにはいかないという事情がある。
そのような要因から「場所を取るのでツリーは置かない」「ツリー柄のタペストリーで済ませる」という人も珍しくなく、ツリーを飾っている家庭でもスペース問題は悩みの種となっている。そのような悩みを解決してくれるアイデア商品としてSNS上で大注目されたのが、ニトリの販売する「ハーフツリー(省スペースツリー)」だ。
その名の通りにツリーが「縦半分」になっているのが最大の特徴で、壁面にぴったりつけて置くことで大幅な省スペースとなる。雪が降りかかったデザインの「ハーフツリー スノー」と雪がかかっていない「ハーフツリー グリーン」の2種類があり、それぞれサイズは高さが180cm、150cm、120cmの3パターン。同社によると、高さ150cmの通常のツリーは約76cmの置きスペース幅を必要とするが、ハーフツリーは約41cmでかなりの省スペースを実現。今まで置けなかったような場所にも設置できそうだ。
ハーフツリーの価格は、180cmが5990円、150cmが4990円、120cmが3990円(※いずれも2023年11月中旬現在の価格)となっている。一般的なツリーの価格相場はピンキリだが、通販サイトのランキング上位は5000円~17000円ほどの価格帯が上位となっており、そう考えると値段の面でも「ハーフツリー」はお手ごろ感があるようだ。
実は、ハーフツリーは昨年から販売されていた商品(当初はスノータイプのみ)だったのだが、これが先ごろSNSで1年越しにバズり、以下のような声が飛び交った。
「確かに、だいたいツリーって壁際に置くから裏半分見ないもんね」
「合理化の極みだ。目のつけどころがお値段以上」
「省スペースだけじゃなく、壁にぴったりつけたら子どもがツリーを倒しにくくなって助かりそう」
「部屋の角に置く4分の1タイプも作ってほしい」
ニトリの担当者に「ハーフツリー」の開発の経緯や苦労した点などについて話を聴いた。
「お客様のお困り事であるツリーを置く場所がない、置き場所に困る等のスペース問題を解決したい、という強い思いで開発いたしました。商品化の際、三本脚で安定して自立させる点には苦労いたしました」(ニトリ担当者)
昨年はスノータイプを発売し、今年はグリーンタイプが3サイズを追加された。昨年の時点で好評となっていたようで、今年はSNSでバズったこともあって売れ行きが加速しそうな気配だ。
「昨年も、場所をとらない、玄関に置けて見映えがいい、半分には見えないボリューム感がある、2本目として購入した……など、買って良かったというお客様からのお声をいただいており、ご好評いただきました。販売状況については、弊社では多数のクリスマスツリーを扱っており、単純比較は難しいですが、通常サイズと同じくらいの売れ行きになる場合もございます」(同)
ネット上の反響について、担当者は「こちらの開発意図と反響が合致しており、ありがたく受け止め、大変感謝しております」と手ごたえを感じている様子。他社でもハーフサイズのツリーは販売されているが、担当者は自社独自の強みとして「三本脚でも自立して安定する点でございます」とアピールした。
ニトリはこれだけでなく、さらなる省スペースを実現する「自立もする壁掛けツリー」や、電飾がセットされているので飾りつけや片付けの手間が省ける「プレライトツリー」、高騰している電気代を気にせずにテラスや庭などでイルミネーションを楽しめる「ソーラーLED電飾」なども販売。顧客のあらゆる悩みに耳を傾け、それを解決する商品を開発しようとするスタンスが感じられる。そうした企業姿勢の中で生まれたのが、今回バズった「ハーフツリー」だといえそうだ。
(文=佐藤勇馬)
※季節商品のため、完売の場合は売り切れとなる可能性があります。