高輪ゲートウェイ駅が開業して間もなく4年たつが、利用者が少なく、廃墟のようだと話題になっている。
高輪ゲートウェイ駅。人がいない… pic.twitter.com/gCF07xifL3
— レゴパパ (@shinagwa_meguro) January 17, 2024
京浜東北線及び山手線の停車駅として2020年3月14日に開業。東京オリンピック・パラリンピックの開催を見越して鉄道駅として暫定開業したもので、駅や周辺の開発整備を進めたうえで、2024年度に“本開業”する予定となっている。
だが、そもそも、なぜこの駅は必要だったのだろうか。鉄道ジャーナリストの梅原淳氏は、その理由を以下のように説明する。
「JR東日本は田町駅と品川駅との間に設けられていた同社の車両基地の跡地約9.5ヘクタールを『高輪ゲートウェイシティ』(仮称)と名付けて都市再開発を行うこととしました。既存の田町駅、品川駅ですと高輪ゲートウェイシティの中心部は遠いので、その玄関口として高輪ゲートウェイ駅が開設されました」(梅原氏)
周辺の街も整備されていないタイミングで、なぜ開業したのだろうか。
「高輪ゲートウェイシティの第1期街開きは2025年春とされています。したがって、この駅を2020年3月14日に開業させる必要はありませんでした。JR東日本によると、最新の駅サービス設備であるとか省エネ設備を導入し、本格的な街開きの前にさまざまな実証実験を行うことを目的として、あえて街開きの5年も前に駅を開業させたとのことです」(同)
再開発が来年終わるとのことだが、その後に利用者が増える見込みはあるのだろうか。
「高輪ゲートウェイシティは2025年春に第1期分の一部が先行して開業し、2025年度中に残る第1期分が開業、2030年度以降に第2期分が開業して完成します。JR東日本は完成後、駅前広場に1日約27万人の人々が行き交うと予想しています。
現状での高輪ゲートウェイ駅の乗降者数は1日平均1万8494人(2022年度)です。2020年の高輪ゲートウェイ駅開設の時点でJR東日本は高輪ゲートウェイシティの街開きまで、この駅の乗降者数を約4万6000人と、山手線では鶯谷駅(2020年当時1日平均5万2000人、2022年度4万2224人)と同程度と見込んでいたので、予想よりも相当少ない数値となっています。
2020年時点でのJR東日本の予想を続けますと、2025年度中の第1期の街開きでは1日平均24万6000人と、目黒駅(2020年当時1日平均23万人、2022年度16万7540人)と同程度、2030年以降の第2期の街開きには1日平均26万6000人と、五反田駅(2020年当時1日平均29万6000人、2022年度20万4974人)と同程度になると見込んでいました。
街開き後は高輪ゲートウェイ駅の乗降者数も増えると考えますが、コロナ禍後の世の中の変化を反映して、2020年当時の見込みを下回るのではないかと思います。
第1期の街開きには2022年度の目黒駅の乗降者数と同じ1日平均16万7540人も少々難しそうで、1日平均10万人程度ではないでしょうか。第2期街開きには2022年度の五反田駅の乗降者数1日平均20万4974人にやはり届かず、1日平均15万人程度ではないかと予想します。ともあれ、現在のような閑散とした状態は脱するでしょう」(同)
JRとしては、同駅の価値をどのように見込んでいるだろうか。
「リニア中央新幹線の始発駅は隣の品川駅なので、高輪ゲートウェイ駅は便利だということをPRしているのだと思います。羽田空港方面にアクセスできる京浜急行電鉄も品川駅をターミナルとしていることから、高輪ゲートウェイ駅は羽田空港にもアクセス容易と言っている点も同じです。
なお、JR東日本は田町駅付近で東海道線と分岐して羽田空港を目指す羽田空港アクセス線(仮称)を建設することとなりました。新線上に高輪ゲートウェイ駅が開設されるとは全く言われておりませんが、この羽田空港アクセス線は田町駅付近からしばらくは地下を通るそうで、JR東日本は高輪ゲートウェイシティの魅力をさらに高めるため、もしかしたら地下駅の高輪ゲートウェイ駅を開設し、羽田空港へダイレクトにアクセスできるとPRするかもしれません」
曜日や時間帯にもよるものの、現状は人影が見あたらないほど閑散とした光景になることも珍しくない高輪ゲートウェイ駅だが、あと1年ほどすれば、多くの人が行き交うようになるのかもしれない。