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派遣社員をやって気づく…正社員から怒鳴られる、毎日残業、給料上がらない

文=Business Journal編集部、協力=川畑翔太郎/株式会社UZUZ COLLEGE代表取締役
派遣社員をやって気づく…正社員から怒鳴られる、毎日残業、給料上がらないの画像1
「gettyimages」より

 少し前、初めて派遣社員として働き始めたという人がSNS上に投稿した体験談が、一部で話題を呼んでいた。今、派遣社員として働くメリット、デメリットとは何か。また、派遣先企業で生じるトラブルにはどのようなものがあるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 1986年の労働者派遣法の施行により誕生した人材派遣という形態は、バブル崩壊を経て1990年代後半から企業側のニーズ拡大に伴い一気に普及。2000年代には「ハケン」という言葉が定着する一方、正社員との待遇差などさまざまな問題も顕在化し、『ハケンの品格』(07年/日本テレビ系)という連続テレビドラマもつくられるなど社会的関心の高いキーワードとなっていた。その後、製造業や医療機関への派遣が解禁されるなど規制緩和が進んだが、2010年代に入ると規制強化の流れに転換。15年には派遣法改正により、派遣先の同一の部署における派遣受入可能期間が最大3年となる「3年ルール」が導入され、20年には「同一労働同一賃金」が導入されたことも記憶に新しい。総務省の統計「労働力調査」によれば、02年から22年までの20年間で派遣社員の数は43万人から149万人へ増加しており、増加傾向にある。また、22年の雇用者のうちの派遣社員が占める割合は2.6%となっており、正社員(63.1%)、パート・アルバイト(25.9%)よりぐっと少なく、契約社員(5.0%)より少ない。

 現在の一般的な派遣社員と派遣元企業、派遣先企業の関係はこうだ。派遣先企業と派遣元企業は業務内容や労働条件、時給などを定める派遣契約を結び、派遣社員は派遣元企業と雇用契約を結び、給料は派遣元企業から支払われる。そして派遣社員は派遣先企業から業務の指示を受け、労働を提供するというかたちだ。

 そんな派遣社員として働くある人物は先月、派遣社員として働いてわかったことして以下の内容を投稿し、反響を呼んでいる。

<初めて派遣社員して分かったこと
・派遣を見下す社員が一定数いる
・お金が本当に貯まらない(実家は別)
・責任がなく気楽に働けた
・残業することはほぼなく気楽
・派遣社員にも面接はある
・意外と競争率が高く、
 すぐに就業先が決まる訳ではない
・20代派遣である事に疑問を持たれる
・派遣の営業は信じてはいけない>

 これに対し、

<社員並みの責任でつらい>

<残業は毎日2時間以上>

<30代派遣である事に疑問を持たれる>

<契約期間の途中で辞めようとすると揉める>

<「従業員昇給のため」という題目で単価が上がっても、貰える給料が全く上がってないことがある>

<成果物に対するが責任重い>

<正社員がミスしたら示しがつかないから派遣社員にさせる会社がある>

<派遣と社員が同じポジション>

といった反応が寄せられている。

あくまで『社外の人』という位置づけ

 株式会社UZUZ専務取締役の川畑翔太郎氏はいう。

「『責任を派遣社員になすりつける』『派遣社員を見下す』といったケースがあるかどうかは会社によるので、一概にはいえません。基本的に派遣社員は業務の内容があらかじめ契約書に定められており、派遣先企業は自ずと派遣社員と正社員を区別してとらえることになるので、人によっては『差別されている』と感じることもあるでしょう。また、派遣社員のなかには『責任がない』ことを気楽と感じる人もいれば、やる気をなくす人もいるでしょうし、どんどん仕事をして正社員に登用されたいと思っている人は不満と感じるでしょうから、受け止め方は人によって違うとしかいえません」

 派遣社員経験者である40代女性はいう。

「もう10年以上前ですが、広告代理店のA社で派遣社員をしていたとき、深夜残業や休日出勤は当たり前で、普通に正社員から八つ当たりされたり怒鳴られたりしていました。ガラケーを折られた派遣社員もいました。一方、大手メーカーのB社では残業はほぼなく、正社員の人はみなさん良い人で丁寧に接してくれ、嫌な思いをすることはまったくなかった。今思えば、A社の正社員の人たちは派遣社員のことを自分たちと同じ社員だと見ていて、B社はあくまで『外部の人』という感じでお客さん扱いしていたのでしょう」

 派遣社員として働くデメリットとは何か。

「まず、正社員が受けられる賞与や福利厚生サービスを受けられないというのは大きなデメリットです。正社員とは評価基準も異なり、同じ職場で働いてはいますが、あくまでも『社外の人』という立ち位置になります」(川畑氏)

 派遣社員と派遣先企業との間でトラブルが生じるケースとしては、どのようなものが多いのか。

「派遣された直後に揉めるケースが多いです。というのも、派遣元企業の営業担当者は一人でも多くの派遣社員をより高い料金で派遣したいので、派遣社員の経験やスキルを『盛り』がちです。派遣する人材が過去にやったことはあるものの少ししか経験のない業務について『スキルも経験も十分ですよ』と売り込んで契約を取ってしまうことがあります。その場合、実際に働き始めると派遣先企業が『こんなに高い時給を払っているのに聞いていたスキルレベルではない。話が違う』と不満を抱きミスマッチが生じるというケースです。

 このほか、職場に派遣社員だからと見下してくる正社員が多かったり、責任のある業務がほとんど任されないためやる気をなくしてしまうというケースもよく耳にします」(川畑氏)

企業とある程度の距離を保って働ける

 では、派遣社員として働くメリットは何か。

「時給は比較的高い傾向にあります。派遣元の営業担当者は派遣先からもらう料金のなかから派遣社員に支払う時給を差し引いた金額が利益になるので、少しでも高い料金になるように派遣先と交渉してくれるからです。一方、派遣先も自社で教育する手間をかけずに必要なスキルを持つ人材を確保することができるだけでなく、正社員よりも状況に合わせて雇用を調整しやすいので、多少高い料金でも受け入れてくれます。

 このほか、比較的責任を負わずに働けたり、派遣先との間に派遣元がクッションとして入ってくれるので辞める際の心理的ストレスが軽いというのも派遣社員として働くメリットでしょう。働く企業に両足を突っ込むことなく、ある程度の距離を保って働きたいという人には向いているかもしれません」(川畑氏)

 複数の企業で派遣社員を経験した40代女性はいう。

「正社員の人と仲良くなれるかどうかは、本当に企業によってまちまち。派遣社員に対して平気で見下す態度をする人が多い企業もあります。一方、ある企業では派遣先の正社員の人と仲良くなって休日に一緒に遊んだりしていたし、いまだに一緒にゴハンに行ったりLINEしたりしている人も男女問わずいますよ。たまたまその人たちがフレンドリーなだけかもしれませんが、企業によってカラーがあるのは間違いないですね」

(文=Business Journal編集部、協力=川畑翔太郎/株式会社UZUZ COLLEGE代表取締役)

川畑翔太郎/株式会社UZUZ COLLEGE代表取締役

川畑翔太郎/株式会社UZUZ COLLEGE代表取締役

1986年生まれ。株式会社UZUZ
COLLEGE代表取締役、UZUZグループ専務取締役。鹿児島出身で高校卒業後、九州大学にて機械航空工学を専攻し、住宅設備メーカーINAX(現:LIXIL)に入社。1年目から商品開発に携わるも、3年目に製造へ異動。毎日ロボットと作業スピードを競い合う日々を送る。自身のキャリアチェンジのため、UZUZ創業に参画。これまでに累計2,000名以上の就業サポートを実施。IT分野の教育研修サービス「ウズウズカレッジ」だけでなく、自治体の公共事業受託、企業ブランディングを担当。IT分野のリスキリングは「ウズウズカレッジ」をご活用ください。
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Twitter:@kawabata_career

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