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9年間でたった25店舗…ブルーボトルコーヒー、出店ペースが異例に遅い理由

文=Business Journal編集部、協力=堀部太一/外食・フードデリバリーコンサルタント
ブルーボトルコーヒー
ブルーボトルコーヒー公式サイトより

 かつて大ブームを巻き起こしたブルーボトルコーヒーは、日本上陸から9年経過したが、ようやく25店舗目を出した。ネット上では、「すでに飽きられた」「ブームは終わった」など辛辣な声もあるが、実際はどうなのか。専門家に聞いた。

 サードウェーブコーヒーの代表格といわれるブルーボトルコーヒーが2023年12月20日、1年3カ月ぶりに新店舗を東京・代官山にオープンした。米国で人気を博し、日本に初上陸したのが2015年。東京・清澄白河に第1号店を出店し、スペシャルティコーヒーのブームを巻き起こした。だが、一気呵成に出店攻勢をかけることなく、9年間でようやく25店舗を出すスローペース。

 当初は数時間待ちとなるほど客が大行列をつくったブルーボトルコーヒーだが、今やブームも落ち着き、メディアに登場したり若者のSNSで話題になることも少なくなった。一部では、「ブルーボトルコーヒーが低迷している」との声もある。

 ブルーボトルコーヒーは、なぜ出店がスローペースなのか。その狙いなど、外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一氏に話を聞いた。

――ブルーボトルコーヒーの出店が上陸から9年間で25店舗ということですが、飲食店の展開として、この店舗数は少ないといえるのでしょうか。

堀部氏「会社として急速な拡大は狙っていないため、出店数自体で評価はできないです。上陸直後からも基本的に1年で1~3店舗の出店。今後も出店数を追った展開にはならないと思います」

――サードウェーブコーヒーブームの火付け役ともいえる存在でしたが、現在のコーヒーのムーブメントはどのような状況でしょうか。

堀部氏「カフェの市場規模は、コロナ禍前の2019年で1兆1784億円(厚生労働省)と飲食業界の中でも非常に大きなマーケットです。確かにサードウェーブという声は聞かなくなりましたし、短期的には純喫茶や韓国風や無機質系などが盛り上がるなどのトレンドの変化はありますが、流行り廃りの市場ではなく、いかに顧客生涯価値を高められるかの勝負になっています」

――ブルーボトルコーヒーは上陸当初、さまざまなメディアで取り上げられていましたが、最近は見かけることが少なくなってきたように思えます。あまりニュースバリューがないのでしょうか。

堀部氏「メディアのニュースバリューは『その時、異常に盛り上がっている』という異常値が多いです。ブルーボトルはすでにそのフェーズを超え、いかに自分たちの世界観をつくって出店するかという点に焦点を当てているので、全国ネットでのニュースバリューは小さいかもしれません。しかし、地域に根付いた出店形態なので、地域メディアやSNSでは今も強い反響があります」

――「飽きられた」との声もありますが、人気に陰りは見られるでしょうか。

堀部氏「すでにブームのフェーズは過ぎているので、1店舗目オープンのような熱狂は無いかもしれませんが、愚直にファン作りを進められている印象です」

――25店舗という数について、大量出店ではないのは明らかですが、意図的に出店ペースを抑えている可能性もあるのでしょうか。

堀部氏「冒頭で説明した通り、出店ありきでない前提があります。また世界観の作り込みから他コーヒーチェーンに比べて初期投資をしっかりかけているのも一つだと思います」

――ブルーボトルコーヒーなどのスペシャルティコーヒーは、まだ発展の余地があるといえるでしょうか。

堀部氏「日本においてカフェ市場は、前述したように巨大かつ安定したマーケットと言えます。インバウンドもより増えてくる中で、コンセプトに尖りあり目的来店性が高く、かつ顧客生涯価値が高いスペシャルティコーヒーは十分に発展の余地があります」

 コーヒーチェーン業界では、ドトールコーヒーショップやスターバックスコーヒー、タリーズコーヒーなど、ハイペースで大量出店するチェーン店が多いため、ブルーボトルコーヒーの出店ペースが異例の遅さに見えるが、その裏には明確な狙いと成長戦略があるといえるだろう。

堀部太一/外食・フードデリバリーコンサルタント

堀部太一/外食・フードデリバリーコンサルタント

関西学院大学卒業後、船井総研に入社しフード部のマネージャー職を勤めその後事業承継と起業。直営では外食8店舗・中食4業態を運営しつつ、月20数社の飲食企業を経営サポート。事業規模は年商2,000万〜1兆円企業まで幅広いです。外食/フードデリバリーが専門領域。

Twitter:@horibe0110

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