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トヨタ新入社員が入社式前に居酒屋で騒ぐ→人事に呼び出され注意、あり得る?

文=Business Journal編集部
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トヨタ自動車の本社(「Wikipedia」より)

 トヨタ自動車に入社する新入社員が入社式前に、本社がある愛知県豊田市の居酒屋で大声で騒ぐと、後日、人事部から呼び出されて注意を受けることがあるという“噂”が、一部SNS上で話題となっている。今月、エンジニアであるX(旧Twitter)ユーザーは次のようにポストしているのだ。

<トヨタ系新卒は注意した方が良いぞ。入社式前の新卒同期と居酒屋で大声で騒ぐなよ。迂闊にSNS共有する為にキーワードをポロリと言ったりして隣席のおじさんに、出身大学、サークル、過去の悪事も全部検索された上で、グループ間で共有され、入社式前に人事から呼び出しされるぞ。(実話)>

 このような話は果たして事実なのか。同社関係者やOBの見解を交え追ってみたい。

 自動車の世界販売台数1位(2019~23年/ダイハツ工業、日野自動車含む)であり、年間売上高37兆円、営業利益2.7兆円(23年3月期)を誇るトヨタ自動車。毎年4月には1000人以上の新入社員を迎え入れ、本社では入社式が行われる。日本を代表する同社への入社を控える新入社員のなかには、誇らしい気持ちや高揚する気持ちから、新たな生活を始める街で同期たちと飲食店でつい羽目を外してしまう人もいるかもしれない。だが、会話の内容からトヨタの人間だとバレた上で、騒いで周りの客に迷惑をかけたり、会社の内部情報を漏らしたりすると、会社に通報され名前を特定されて注意を受けることがあるというのが前出の投稿内容だ。

トヨタの町=豊田市

 そもそも豊田市はトヨタの社員と家族に加え、グループ企業や取引先の人間など広義の意味で「トヨタ関係者」が多いことで知られている。

「豊田市で生活すると、周辺に住んでいる人もトヨタ関係の人ばかり。休日に買い物に行っても、夜に飲みに行っても、隣に座った人がトヨタ関係者だったりするので、うっかり悪口も言えません。人間関係の逃げ場がないので、居心地が悪いと感じる人もいると思います」(トヨタ元社員/23年7月29日付け当サイト記事より)

 トヨタグループ社員はいう。

「豊田市にはトヨタのグループ企業や取引先に加え、トヨタ系列の病院、スーパー、不動産会社、ホテルなどもあり、トヨタ関係者がまったくいない場所を探すほうが難しい。また、トヨタ本体もグループ企業も部署ごとで飲みに行く文化が根付いており、頻度は多い。なので、居酒屋などで会社への悪口や愚痴を言おうものなら社内でバレてしまうリスクがあるため、みんなそういうことは言わないように教育されています」

 こうした豊田市の環境を理由にトヨタを退職する人がいるという話も、しばしば話題になる。たとえば、少し前には、同社に勤める「研究開発 在籍5~10年 新卒入社」の男性がSNS上に投稿した内容が話題となった。この男性は「退職検討理由」として「立地のみ。東京出身者に愛知県は耐えられない」とコメント。これに対し、「地元民ですらキツイと感じてるんですから、他県の人には無理でしょうね」「名古屋市内なら何とかなる。豊田市はどうにもならん」という共感の声や、「逆にそれ以外特に不満がないってこと?」といった反応が上がっていた。

 豊田市は愛知県では名古屋市に次ぐ県内2位の人口であり、面積は最も広い県の中核都市だが、トヨタ元社員はいう。

「『トヨタの本社があるから栄えている』と思われるかもしれませんが、想像以上に“地方感”が強く、少なくても“都会”ではないです。加えて市内はトヨタの関係者ばかりなので、何をするにも監視されているような気持になってしまう。子どもの頃から豊田市に住んでいる人であればそれが普通なので問題ないでしょうが、東京や大阪の大学を出ていきなり豊田市の勤務になった人は結構キツイと思います。名古屋出身の人でもキツイと言う人もいるくらいです。なので、豊田市の特性だけが原因で辞める人はいないと思いますが、トヨタは企業体質的に非常に内向きで社員管理が厳しい“硬い会社”で、社内行事や所属部署での飲み会も多いので、そうしたいろいろな部分が重なって辞める人は少ないながらもいるように思えます。ただ、やはり『世界のトヨタ』の社員という身分は捨てがたいものがあるので、自発的に辞めるという人は少ないでしょう。

 ちなみに名古屋市と豊田市はすぐ近くだと思われがちですが、トヨタ本社の最寄り駅である三河豊田駅から名古屋市の繁華街である栄に行くには電車を乗り継いで約1時間、往復だと2時間以上かかるので、『夜に名古屋まで遊びに行って帰って来る』というのは厳しいですね。昔は、きっぷがいい管理職が金曜の夜に部下を引き連れてタクシーで栄あたりまで行って、飲み屋やクラブをおごるといったことありましたが、今もそういう人がいるのかはわかりません」

 もっとも、豊田市がこのような性質を帯びるのはやむを得ない面もあるという。

「ガソリンエンジン車は約10万点の部品を組み立ててつくり、トヨタを頂点に5~6次下請け企業までが一つの共同体として結びついています。そのため、豊田市と周辺地域ではトヨタの営業日を記した独特な『トヨタカレンダー』に基づいて経済が回っていますが、自動車産業という裾野が広い産業、しかも世界トップであるトヨタの経営が成り立つためには、市レベルで歩調を合わせる必要があるのです」(同)

「全然あり得る話だとは思います」

 では実際に前出のX上のポストで書かれたようなことはあり得るのか。

「大手企業では内定者を入社前に集めて内定式や現役社員との交流会、入社前研修などを行っています。そこで集まった新入社員たちが、帰りにグループで飲食店に行き羽目を外してしまい、社名を口にしていたことから、居合わせた同じ会社の社員や客などから会社に通報が入り、後日、人事部に呼び出されてお叱りを受けるというケースは珍しくはありません。なので、トヨタに限らず、どこの大企業でも起こり得る話でしょう。

 会社側としては、動画がSNSで拡散されて大問題となったり、企業イメージが損なわれたりという懸念もありますし、いくら新入社員といえども外部に漏れるとマズイ情報を知っていることもあるので、そういう不適切な行為をする社員に厳しく対処するというのは当然です」(大手メーカー部長)

 また、前出のトヨタ元社員はいう。

「全然あり得る話だとは思いますし、社会的な影響力のある会社としては必要な対応ですよ」

 当サイトは20年1月5日付け記事でトヨタの社風や内情について報じていたが、改めて以下に再掲載する。

――以下、再掲載(一部編集/肩書・数字・時間表記等は掲載当時のママ)

 当サイトではトヨタ自動車の複数の社員に職場の労働環境について聞いてみた。非技術職の女性は次のように話す。

「大きな会社なので、良い部署と悪い部署、良い上司といただけない上司がいます。そういう意味で、最初の配属がどこになるかで、ホワイト企業に入社したのか、そうではないのか感想が変わると思います。基本的にほぼグループ企業の方とのやりとりですべてが完結するので、外部を知るきっかけはあまりありません。社内におかしなことがあっても気が付かない風土なのかもしれません」

 また、同じく非技術職の男性は以下のように語った。

「良い意味ですごくチームワークがある、悪い意味ですごく閉鎖的なコミュニティーという感じです。パワハラとかがあるかどうかは、本当に職場によるとしかいえません。ただ、ここまで大きな会社だと内部統制を効かせることは容易ではないだろうなと思います」

 そんななか、少し気になる話も出てきた。いくつかの項目ごとに証言を掲載する。

土曜日に飲み会

「土曜日に職場の飲み会があります。忘年会・歓送迎会シーズンになると、日曜日もつぶれることがあります。研究会や講演会、展示会などへも職場のグループで出かけるので、仕事以外の自分の時間が持てません。チームワークや仲が良い職場ということなのかもしれませんが、参加しない同僚がLINEで陰口を言われているのをみて参加するようになりました。

 参加しないとみんなに『向上心がない』とか『やる気がない』と言われるのが怖いです。飲み会では 9 割が仕事の話で事実上、仕事のミーティングではないかと思います」 (技術職)

「工数削減が常態化していて、常勤は休みの予定がまったくたてられない。期間工の休みを優先するので、そのしわ寄せがきているイメージがあります」(技術職)

昭和な雰囲気の職場

「工場に女子トイレと更衣室が少なすぎます。しかも場所が遠く、休憩時間もトイレに行って終わりになります。営業系の職場には女性の社会進出が進んでいますが、工場は女子の割合が増えているのにそんな状況です」(技術職)

「良くも悪くも昭和な雰囲気です。男性が多い職場ですし、あまり飲み会や会社の行事などには参加したくないのですが、出欠表で男性が全員参加しているのに自分だけ参加しないというのは、空気が読めないみたいな気がするので、 (断るのは)難しいです。結婚の話とか、付き合っている男性がいるのかとか、 『これはセクハラじゃなくて、職場のスムーズな運営のためだ』という前置きで話を振られることが多々あり、良い感じはしません。前に飲み会や会社の行事に参加しない同僚がいて、飲み会で悪口を言われているのを見かけました。それ以来、毎回、出ています。 女性上司のところに配属されるかどうかはかなり大きいです。きっと、聞き分けの良い娘を演じ続けることができれば、うまくやっていけるのかもしれません」 (非技術職)

残業抑制策が裏目に

「入社 10 年目以上の主任級社員には、本人の申請で45時間分の残業代として一律 17 万円が支給されることになっています。申請しないという雰囲気は職場になく、みんな申請しているので、申請しました。 効率よく仕事をすれば、確かに所定時間働いていなくても、残業代をもらえる仕組みですが、仕事量は前と変わっていないので 45 時間ではとうてい終わらせることができません。

 45 時間以上の残業をすると上司からものすごく怒られます。効率的に働けと言われるのですが、そもそも社内の決済システムが効率的ではないので、どうしようもありません。当然、休日出勤すると上司にも怒られますし、職場でも『仕事ができない』と陰口を叩かれます。

 会社のパソコンを持ち帰ることもできないので、家で同じようなエクセルなどのフォーマットをつくって、仕事をしてプリントアウトして職場に持って行き、それを会社で打ち込んでいます。いろいろ社内規定に違反しているのはわかっているのですがそうしないと査定に響き、ボーナスに直結します。非常にしんどいです」(非技術職)

 この社員が話しているのは、トヨタが2017年に導入した「入社10年目以上の社員に実際の残業時間にかかわらず毎月17万円を残業手当として一律支給する制度」のことだと思われる。

 残業を短くするほどメリットが大きい仕組みとなっており、仕事の能率を向上し、長時間労働を無くすのが狙いだった。対象は主任級以上の社員で、本人の希望で申請し認められれば適用される。17万円は主任級の残業代だとおよそ45時間分に相当。これを超過して残業した分は上乗せして支払われるという。

 いずれも社員証を確認の上、取材した。なかには、飲み会でのやり取りをICレコーダーに録音しているケース、約5年間継続的につけている日記帖にその日の就労状況に関して記載している例などもあったので、社内の相談窓口や労働組合に行くことを勧めたのだが、ある社員は次のように語った。

「相談や申請して、社内で変な目で見られたくない。守秘義務は守るとしていますが、会社の雰囲気的に絶対身バレすると思います。仕事は楽しいし、やりがいもあるので、会社に居づらくなるのも、辞めるのも嫌です。こういうやり方は批判を受けるかもしれませんが、もっと会社の雰囲気を良くしたいと思って取材に応じました」

(文=Business Journal編集部)

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