インターネット上に「流山の物流倉庫がデカすぎる」と動画つきの投稿があり、注目を浴びている。動画を見てみると、ドローンで撮影したとみられる非常に大きな倉庫が8棟、次々に映し出される。一般的な企業の倉庫とは考えられないほどの規模だ。投稿に対して、「想像の20倍デカかった」など、あまりの大きさに驚嘆する声が続々と出ている。倉庫を開発企業に聞くと、総敷地は東京ドーム約9個分もある先進的な施設だという。
一体、どんな企業の倉庫で、どんな目的につくられたのだろうか。Business Journal編集部は、倉庫を開発している日本GLP株式会社に話を聞いた。
――貴社はどのような事業を行っている会社でしょうか。
広報担当「日本GLP株式会社は、先進的物流施設をはじめ、データセンターや再生可能エネルギーなど次世代社会インフラの開発・運営を行っている会社です。主力の物流施設事業では、日本全国で約180棟、総延床面積1100万平米を開発・運営しています。また、GLPグループは日本のほか、米国、欧州、ブラジル、アジアなど世界17か国で事業を展開しています」
――動画にあるALFALINK流山の倉庫は、どのような役割を果たしているのでしょうか。また、同倉庫は何棟あり、どのくらいの広さ、容量があるのでしょうか。
広報担当「ALFALINK(アルファリンク)は、日本GLPが全国で開発する先進的物流施設のなかでもフラッグシップとして位置付けており、現在は神奈川県相模原市と千葉県流山市の2拠点で展開しています。2024年7月末には『GLP ALFALINK茨木(大阪府茨木市)』、2025年には『GLP ALFALINK尼崎(兵庫県尼崎市)』の竣工も予定しています。ALFALINKの特長は、大規模であり多機能であることです。『GLP ALFALINK流山』は国内最大級の施設で、常磐道 流山ICにほぼ直結する場所から全部で8棟が一直線に連なっており、総敷地は東京ドーム約9個分、総延床面積は約90万平方メートルにおよびます。
近年のEC市場の拡大や、サード・パーティ・ロジステックス(3PL)事業の進展等によって、今や物流施設は、単に物を保管しておくかつての“保管型”倉庫とは異なり、梱包や流通加工、高機能設備などを備えた“配送型”へ、そして様々なテナントが賃貸契約により複数入居する“マルチテナント型”へと変遷しており、それに合わせて大規模化・高機能化を遂げた『先進的物流施設』と呼ばれるものにどんどん移り変わってきています。また、これらの施設はいわゆる『物流不動産』として有力な投資対象ともなっています。われわれ日本GLPは日本におけるこのような進化の変遷を牽引し、物流事業者の事業発展に貢献できる施設づくりを目指してきました。
『GLP ALFALINK流山』にも数十社のテナント企業が入居しており、各企業がそれぞれの物流業務を行っています。担う役割は各企業により異なりますが、基本的な保管や輸配送はもちろん、これまではその前後工程として別拠点で行っていた製造や加工などのプロセスを取り込んで集約したり、なかには研修や開発などのR&D業務を行うような企業も出てきています。物流の2024年問題のような、1社単独ではなかなか解決が難しい課題を、入居企業どうしが協力・連携し合うことで効率化するといった新たな共創の動きも出てきており、私たちの生活を支える物流は、この施設のなかで日々進化を遂げているということを是非知っていただきたいです」
――流山以外にも、倉庫を保有しているのでしょうか。
広報担当「日本全国で180棟の施設を開発・運営しています」
――YouTubeに動画を公開した意図や狙いを教えてください。
広報担当「先述のとおり、物流施設は近年大きく進化しており、都心の最新のオフィスと変わらないような快適な共用部を設けたり、施設内で働く就業者の方々の就労環境改善にも取り組んできました。また、BCP対策として免震構造を取り入れたり、そもそもが堅牢な建物であることから、地域の防災拠点として近隣住民の避難所として指定いただいたり、救援物資配送の拠点として活用いただけるように全国の自治体と防災協定も締結しています。
一般の方々にとって、普段あまり馴染みがないであろう物流施設ですが、物流は私たちの生活を支える重要な社会インフラであり、そして近年このように多様な進化を遂げているということを少しでも多くの方に知っていただき、興味を持っていただくきっかけのひとつになればという想いから、こうした動画や各種情報発信を積極的に行っています。ちなみに、昨年、ホリエモンチャンエルでも取り上げていただき大きな反響をいただきました」
多くの方は普段、物流倉庫を目にする機会はなかなかないと思われるが、今や私たちの生活のなかで物流は欠かせない存在だ。倉庫も、単に物を保管しておくだけではなく、ハイテクな施設へと変貌を遂げていることがわかる。
(文=Business Journal編集部)