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ヤマト運輸、一部地域で配送「翌日→翌々日」に…2024年問題で物流の常識崩壊か

文=佐藤勇馬
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※画像:「ヤマト運輸」ウェブサイトより

 ヤマト運輸は17日、宅急便の配達を一部区間で「翌日」から「翌々日」に1日遅くすると発表した。規制強化によってトラック運転手の人手不足などが懸念される来年4月からの「物流2024年問題」が迫っており、近いうちに物流の常識が大きく変わるおそれがありそうだ。

 ヤマト運輸が配送体制を見直すのは「首都圏や新潟県と中国・四国地方の一部との間で配送される荷物」「岩手県と関西地方の間の荷物」「静岡県の一部や富山県から福岡県へ配送される荷物」で、これまでは最短で翌日に配送していたが、6月から「翌々日」の配送となる。

 同社は見直しの理由について、大雨による高速道路の速度規制などがあっても無理なく配送できる体制を整えることや、ドライバーの負担を減らすことなどをあげた。また、近年は老朽化した道路の補修工事の影響で配送が遅れるケースも生じていた。

 この決断の背景には、1年後に迫った「物流2024年問題」がある。トラックドライバーの過酷な労働環境を改善するため、来年4月から働き方改革関連法によって時間外労働の上限が年960時間に制限され、拘束時間や休息時間なども厳格化されることで、運送業界が激震に見舞われるといわれている問題だ。

 具体的な懸念点としては、1日に運べる荷物の量が減ることで、運送業者の利益とトラックドライバーの収入が減少することが考えられる。特にドライバーの収入減少は影響が大きく、ただでさえ高齢化が進んでいるドライバー業界の離職率が上がり、若者が入ってこなくなることで致命的な人手不足に陥るおそれがある。

 野村総合研究所の推計によると、対応をとらなければ人手不足で2030年には全国で35%の荷物が運べなくなるという。本来は物流業界の「ホワイト化」を促すための政策だったが、ドライバーたちの残業が業界を支えていたという事実もあり、急激な変革による物流の大混乱が危惧される。

 すでに物流の混乱は起きつつあり、最近はネット上で「Amazonで買った商品が到着予定日になっても届かない」「以前ならネットで買うと翌日に届いていたのに遅れることが増えた」といった声が増加。現状では繁忙期に限ったことだといわれているが、来年4月からは状況がさらに悪化しそうだ。

 郵便業界はひと足早く配送体制を大きく変更しており、2021年10月から日本郵便では一般的なハガキや手紙が土曜日に配達されなくなり、届くまでの日数も遅くなった。昨年10月には、Twitterで「普通サイズの封筒を出そうとしたら、神戸から京都まで2日かかり、なんと東京までは5日かかると言われた」というツイートが話題になり、ネット上で「江戸時代の飛脚のほうが早い」といった声があがった。また、以前は同じ市内であれば郵便は翌日に配達されていたが、現在は土日をはさんでしまうと到着までに1週間近くかかるケースがある。

 2024年問題で宅配便業者も同じような道をたどるおそれがあり、もし宅配便で「荷物到着まで数日かかるのが当たり前」となってしまったら、これまでの日本の物流の常識が完全に崩壊することになりそうだ。

 さらに、宅配ピザの常識も変わりそうだ。ピザハットは18日に「有料配達」に切り替える方針を示し、1回につき250円の配達料を導入すると発表した。同日から横浜市内の一部店舗などで先行導入し、6月19日から全国の店舗に拡大する予定だ。近年の人件費や燃料代の高騰を受けてのもので、こうした動きはデリバリー業界全体に広がっていくかもしれない。

 EC市場は拡大の一途をたどっているが、荷物を運ぶ人員は慢性的に不足している。さらに「物流2024年問題」という大きな転換点を迎えることもあり、これまでの常識にとらわれずに物流の問題点を解決していく必要性がありそうだ。

佐藤勇馬/フリーライター

佐藤勇馬/フリーライター

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

Twitter:@rollingcradle

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