持ち帰り弁当最大手の「Hotto Motto(ほっともっと)」が、「人員不足のため営業時間を変更します」として、営業時間を延長するという謎の対応が話題になっている。その理由を探って、ネット上ではさまざまな考察が行われている。だが、どれも確定的な答えには至っていない。そこでほっともっとの運営元に直接話を聞いたところ、「人員不足で営業時間を短縮していたが、段階的に延長していく」との意図だという。
2月末日時点で、2444店舗を展開する持ち帰り弁当最大手のほっともっと。運営元のプレナスはかつて九州や山口、東日本の一部地域で2000店以上の「ほっかほっか亭」を運営していたが、フランチャイザーのほっかほっか亭総本部と対立。2008年にほっかほっか亭から離脱し、ほっともっとブランドを立ち上げ、今や業界2位の「本家かまどや」、業界3位の「ほっかほっか亭」を抑えて業界1位の店舗数を誇る。
そんなほっともっとも、順風満帆に事業を拡大させてきたわけではない。一時は約2700店舗にまで数を増やしたが、2019年2月期に8億円の赤字を抱えるほど急速に業績が悪化し、190店を閉店する事態に陥った。その後、コロナの影響もあって店舗数は減少した。
ほっともっとに限らず、弁当業界は全体的に厳しい。人件費や材料費、光熱費などの高騰もあって利益率が圧迫されているうえに、コロナ以降のイベント需要が回復しきっていないからだ。ファストフード業界で宅配ピザやハンバーガーが上向きになっているのに対し、弁当業界はまだ低迷している。その状況に追い打ちをかけるように、人員不足が暗い影を落としているのだ。
5月23日、ほっともっとの店舗に掲出された「営業時間変更のお知らせ」と題する貼り紙の写真が、X上に投稿された。そこには、「この度、人員不足等の諸事情により当面の間、下記の通り、営業時間を変更させて頂きます」と記載されている。人員不足はさまざまな業界で課題となっており、それに伴う営業時間の短縮は珍しいことではない。だが、その営業時間を見ると、「変更前:9:00~20:00 変更後:9:00~21:00」となっている。
なぜ人員不足なのに営業時間が延長されるのか。この対応にネット上では、「変更前と変更後の時間表記を間違えたのではないか」「人手不足で待ち時間が長くなるから営業時間延長で対応するという意味ではないか」などと、さまざまな推測の声があがった。
また、「お客様にはご不便をおかけしますが、何卒ご理解の程、宜しくお願い致します」との文末の表現に対しても、「ご不便どころかかえって便利になる不思議」など、営業時間の延長を好意的に受け止める向きも多い。
人員不足で営業時間延長の意図
この営業時間延長の意図はどこにあるのか。Business Journal編集部は、ほっともっとを運営するプレナスの広報部に話を聞いた。
――人員不足で営業時間延長をしているというのは事実でしょうか。
プレナス広報「店舗の告知に誤りがありましたので修正しております。お客様をはじめ、関係者の皆さまにはご迷惑をお掛けし、申し訳ございませんでした。一時的な人員不足で営業時間短縮をしておりましたが、段階的に営業時間を延長しております」
――これは一部の店舗なのでしょうか。それとも全店舗なのでしょうか。
プレナス広報「当該店舗のみです」
――人員不足以外の「諸事情」はどのようなことがあるのでしょうか。
プレナス広報「現時点では、ございません」
――人手不足は多くの業界で起こっていますが、貴社ではどのような影響がでていますでしょうか。
プレナス広報「ごく一部の店舗で突発的に従業員(シフト)が不足する場合があります。その際は一時的に営業時間短縮などを行っております」
ほっともっとの営業時間は、多くの店舗で9時から22時だ。店舗が入居する商業施設などの兼ね合いや、店舗ごとの事情によって、10時開店や21時閉店というケースもある。曜日によって営業時間が異なる店舗もある。そんななか、人員不足により営業時間を20時までに短縮していた店舗で、21時まで営業時間を延長するという趣旨だったのだ。
一人暮らしの方や、仕事などの都合で食事をつくる時間が取れないときなど、手軽に温かい食事を購入できる弁当店はありがたい存在だ。外食や宅配の食事とも趣の異なる持ち帰り弁当の業界にはがんばってほしい限りである。
(文=Business Journal編集部)