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楽天G、内定者に「社長の著書の感想文」要求していた「社風の理解には効率的」

文=Business Journal編集部
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楽天グループ・三木谷浩史会長兼社長(「Getty Images」より)

 楽天グループに内定をもらった就活生が、三木谷浩史会長兼社長の著書を2冊読んで感想文を提出するよう求められ、就職を辞退したとの投稿がSNS上で大きな話題になっている。「社長の著書を強制的に読ませるような会社は嫌だ」と嫌悪感を示す声や、「社風に合う人材を探すには良い方法」と理解を示す声など賛否両論が飛び交っている。楽天の思惑はどこにあるのか、楽天の広報部に直接聞いた。

 eコマースなどのインターネット事業を中心として、携帯電話などの通信事業や金融、不動産、プロスポーツクラブなど、多種多様な事業を展開し、日本の経済界に多大な影響力を持つ楽天グループ。

 その創業者で会長兼社長の三木谷浩史氏は、新経済連盟の代表理事を務めるほか、プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスの会長兼球団オーナー、Jリーグ・ヴィッセル神戸の会長、日本プロ野球オーナー会議議長、東京フィルハーモニー交響楽団理事長など多くの肩書を持つ。一橋大学を卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に就職し、米ハーバード大学で経営学修士(MBA)を取得。その後、興銀を退職して楽天を創設して一代で日本トップクラスの大企業に押し上げた、稀代の経営者である。

 そんな三木谷氏には、自身の経営哲学などを綴った『成功のコンセプト』や『成功の法則92ケ条』(いずれも幻冬舎)など多くの著書があるが、楽天に就職しようとする人に、その著作を読ませ、さらには感想文の提出を求めていたということが大きな話題になっている。

 あるXユーザーが6月17日に、こう投稿した。

「楽天は内定後に人事の方から『こんなこと言うと変な会社だと思われるかもしれないのですが社長が書いた本を2冊読んで感想文を書いてほしい』と申し訳なさそうに言われて、1冊だと思ってたから心が折れて他の会社にしちゃった。あとみんなが仕方なく慣習を続ける風土だと入った後も苦労しそうだと思って」

 この投稿は多くの関心を集め、「色々意義はあると思いますが、普通にちょっと嫌ですね」など、嫌悪感を示す声が続出。一方で、「上手な選考システムですね。新卒採用で難しいのは社風に合う人材を探す事ですが、社風を理解して成長するモチベがある人間である事が前提なので、そうではない人を選別してるんでしょう」と課題の意図を推察したり、「経営者の哲学を社員に浸透させるために毎朝社是や社訓を唱和する企業があるが、著作を読ませるほうが効率は良さそう」など、合理性に理解を示す向きもいる。

楽天グループ広報部に直接聞いた

 そこでBusiness Journal編集部は楽天の広報部に、事実関係を確認するとともに、その狙いなどを聞いたところ、「詳細の回答は控えさせていただきます。ただ、過去に企業への理解促進の一環として、楽天の関連書籍への感想を伺うことはありましたが、現在は実施しておりません」との回答であった。

 楽天といえば、さまざまな企業を買収・合併し、さらに海外にも進出し、日本を代表するグローバル企業となった。そのなかで社内公用語を英語とするなど、既存の枠にとらわれない施策も打ってきた。現在は実施していないというが、社長の著作を読ませるのも、社員に対して経営者の理念を理解させるなどの意図を持った施策のひとつだったのだろう。

 くしくも件の投稿と同じ17日に、求職情報・転職サイト「doda」が発表した『社会人が選ぶ“働きたい企業”』ランキングで4位に入った楽天。他社が行っていない新しい施策を打てば賛否が分かれるのは当然だが、ある意味でそれも楽天らしいといえるのではないだろうか。

(文=Business Journal編集部)

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