キョードー東京がオンライン販売する「ティム・バートン&ダニー・エルフマン映画音楽コンサート2025」(公演日:4月26~27日)で、今月10日の発売直後に空席がわずかだったため急いで購入したが、翌日には前方の席をはじめ多くの席が購入可能となったことから、SNS上では「先に買った人が損するシステム」「前方が埋まっていたので後方を購入。先ほど見たら前方が列ごとガラッと空いている」「買う時には後方席しか残ってなく、後出しで前方の良席販売しだすの意味不明」といった声が続出している。なぜ、このような事態が発生しているのか。キョードー東京に聞いた。
老舗のイベント興行会社として知られるキョードー東京は、主に関東圏で音楽コンサート・ライブなどを企画・制作・運営・チケット販売する会社であり、「ライブのチケット販売といえばキョードー東京」というイメージを持つ人も多い。
今回議論を呼んでいるのは、そのキョードー東京が主催・企画・制作を手掛けるコンサート。映画監督のティム・バートンと作曲家のダニー・エルフマンがつくった15作品を映像とフルオーケストラで提供するという内容で、1月10日に先行販売を開始。S席(1万2800円)、A席(9800円)、B席(5800円)からなるが、発売開始時点では一部の限られた席のみ購入可能だったが、翌11日にはA席やB席も含み多くの席が購入可能に。購入後に座席の変更はできず、発売日に急いで空いていたS席の後方席などを購入した人もおり、SNS上では以下のような声が続出する事態となっている。
<夜中に購入したときはすでに前方が埋まっていたので後方を購入。先ほど見たら前方が列ごとガラッと空いている>
<初日に買うより2日目に取った方が席空いてるってなに?>
<S席グループの見たかった場所10席以上空いてるし、なんならそこが良かったんだけど>
<さっきまでAもBも席がなかったのに、S席も少なくなってたから急いで買ったら今見たら、席前の方とか買えるようになってる>
<先行販売で購入した時埋まってた席が数時間後に見たらガラッと1列分空席になってる>
キョードー東京はBusiness Journalの取材に対し次のように説明する。
「多くのお申込みをいただいたことを受け、公演側と相談のうえで追加で席を販売しました。本公演に限らず、他の公演でも同様の対応を行うことがあります」
販売方法としては避けるべき
ウェブサービスを提供するIT企業役員はいう。
「チケット購入後に座席の変更やキャンセルができない場合、販売期間の途中で、それまで販売されていた席よりも良い席や安い席を追加で販売してしまうと、『そっちの席のほうがよかったが空いてなかったため渋々ほかの席を購入したのに、損した』『あとから購入したほうが良い席を買えるのはおかしい』と感じる購入者が出るので、販売方法としては避けるべきです。ライブチケットというのはサービスの特性としては限定品販売に近く、たとえば人気アーティストの限定品ノベルティーを数量限定で発売し、その後に事前のアナウンスなしで、より価値の高い限定品を発売してしまうと、購入者からは『それ、先に言ってよ』『もうお金使っちゃったから買えないよ』というクレームが生じることになります。なので、一般的には販売期間中は座席数を変えず、追加発売する場合は、改めてその旨と発売日をアナウンスした上で別途、販売を開始したほうがよいです。今回の件でいえば、キョードー東京としては、よかれと考えて席を追加したのかもしれませんが、結果的に余計なトラブルを招いてしまったといえるでしょう。また、今さら座席変更やキャンセルを認めるわけにもいかないでしょうから、どうしようもなく、焦って不本意な席を購入してしまった人は泣き寝入りを強いられるしかないかもしれません」
(文=Business Journal編集部)