ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 震災で日本酒ブーム到来!?  > 2ページ目
NEW
女性清酒党も増え、出荷量は16年ぶりに対前年比増に

震災でブーム到来!?日本酒業界に何が起こっているのか?

 この日のコンペティションでは、「生もと・山廃」「純米」「純米吟醸」「純米大吟醸」の4部門で、いずれも市販されているものを対象に厳正かつ客観的な審査が行われたということだが、各部門の1位には「生もと・山廃」が「東洋美人」(山口県)、「純米」が「飛露喜」(福島県)、「純米吟醸」が「磯自慢」、そして「純米大吟醸」が「十四代 龍月」(山形県)が選ばれた。「十四代」が選ばれると「やっぱり」という声と「ほかになかったの」という声が会場を交錯したのが印象的だった。

東日本大震災が大きな要因

 実は昨年の日本酒出荷量の反転は、東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方や関東地方の蔵元の酒が、復興支援の一環として全国各地で開かれた物産展などで買い求められたことが大きいといわれている。日本酒造組合中央会の調べで、昨年4-9月期に宮城県の出荷量が前年同期比39%、岩手県が同じく17%、福島県が9%のプラスであったことを見れば、震災の影響がいかに大きかったかよくわかる。

 とはいえ、今回のコンペでは東北各県の酒が、「飛露喜」や「十四代」以外にも相当数上位に食い込んでおり、そうした酒造りの底力が震災後の売れ行き増加につながったと見ていい。加えて、これまでさほど酒造りでは注目されてこなかった静岡県や山口県、三重県(例えば「作」)などでも、評価の高い酒が生まれてきている。地酒ブームの発祥の地である新潟県から上位入賞の銘柄がなかったのは残念だったが、日本酒不毛の地といわれるような土地で、地道に酒造りをしている人が増えていることは確かだ。

 一方「白鶴」や「月桂冠」の出展は、個性のない酒造りに終始してきた大手の姿勢の変化を象徴しているようにも思われる。であるとすれば消費者の受け止め方も違ってくることは確かで、昨年の出荷数量増は、今後の大きな土台となると見て間違いないだろう。

 ただ主催者の1人、飯田永介氏が言うように、大事なことは「国を挙げて日本酒を盛り上げようという態勢が整いつつあるだけに、すべての酒蔵がもっと旨くならないといけないし、味に磨きをかけないといけない」ということだ。それなしには日本酒は消費者から見放され、泥沼の奈落に落ち込む。
(文=清丸恵三郎)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

『こころの処方箋』 お酒はこころの処方箋 amazon_associate_logo.jpg

震災でブーム到来!?日本酒業界に何が起こっているのか?のページです。ビジネスジャーナルは、企業、の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!