2020年の東京オリンピックの開催が決まり、にわかにスポーツへの関心が高まっている。
閉幕したばかりのソチオリンピックもそうだったが、オリンピックやワールドカップといった大規模なスポーツイベントは、企業にとっても自社の商品の認知を広める絶好の機会だ。
世界的飲料ブランド・レッドブルも、スポーツを利用したマーケティングによってブランド力を構築してきた。
レッドブルは1984年オーストリアで創業し、いまや年間52億本を売り上げるブランドへと成長したが、スポーツ・マーケティングはレッドブルの成長になくてはならないものだった。
『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』(ヴォルフガング・ヒュアヴェーガー/著、楠木健/解説、長谷川圭/解説、日経BP社/刊)では、レッドブルのスポーツ・マーケティングが詳しく紹介されている。
ここでは本書から抜粋して、レッドブルのスポーツ・マーケティングのキーワードを紹介したい。
レッドブルは単なる飲料ではなく「エキサイティングな体験」
創業者であるディートリッヒ・マテシッツは「レッドブルは単なる飲料ではなくエキサイティングな体験であり、スリルや冒険である」と語る。
このコンセプトをもとに、レッドブルはさまざまなスポーツのスポンサーになったり、大会を主催したりしている。一例を挙げると、
・F1
・サッカー
・アイスホッケー
・ビーチバレー
・BMX(自転車競技の一種)
・ダカール・ラリー(未整備道路を走破するモータースポーツ・ラリーレイドの一種)
・スキージャンプ
・競技ドリフト
・エアレース(飛行機を用いて飛行技術や機体性能を競いあうモータースポーツ)
ちなみに、レッドブルは格闘技とははっきり距離を置いている。「暴力」のイメージを持つ格闘技とのタイアップはブランドのコンセプトを誤解させる可能性があるからだという。
レッドブルのスポーツ・マーケティングの「3分の1ルール」
マテシッツは、スポーツは「レッドブルの販売というメインビジネスを側面から支える対策」だと語る。
レッドブルは膨大な額をスポーツに費やしている。年間総売り上げの3分の1をマーケティングに、そのうちの3分の1をスポーツに充てている。
この二重の「3分の1ルール」がレッドブルのスポーツ帝国の原動力となっている。
レッドブルはスポーツへ莫大な投資を続けることで、マイナーな「新しいスポーツ」を世に送り出し、育ててきたのだという。
レッドブルがブランド力を構築する上で、スポーツ・マーケティングは重要な役割を果たしてきた。
が、レッドブルのスポーツ・マーケティングは、レッドブル商品の強固なコンセプトがあってはじめて成り立つものであり、すぐ模倣できるようなものではないと言えそうだ。
本書では、レッドブルのスポーツ・マーケティングの他にも、レッドブルの成長の軌跡や創業者のマテシッツについて詳しく述べている。
爆発的な成長を遂げたブランド・レッドブルの経営戦略が知りたい人は、ぜひ手に取ってみてほしい。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。