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巨艦・日本郵政、上場への前途多難 難航する大規模システム統合と、遅れる新規事業認可

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 中期経営計画の柱は、グループの情報システム統合である。東芝出身で東京証券取引所でも株式売買システムの全面刷新を指揮した西室は、上場の前提となる「戦える情報システム」への転換を掲げた。この計画のカギとなるのが、最高情報責任者(CIO)の外部招聘だ。

 西室は日立製作所会長(当時)の川村隆氏に「郵政グループのためにCIOを出してもらいたい」と依頼し、川村氏は日立ソリューションズ副社長の小松敏秀氏を具体的に指名した。西室氏と小松氏は二人三脚で巨大システムの統合に取り組んできたが、システム統合は難航している。上場の前提となるシステム統合作業が遅れれば、上場計画自体に影響が及ぶことは避けられない。

●新規事業の認可にも遅れ

 日本郵政は14年3月期の連結業績予想について、最終利益を期初予想より700億円多い4200億円(前期比25.4%減)に上方修正した。郵便物の減少を受け、3年ぶりの減益となるが、株高で傘下のゆうちょ銀行の運用益が増加したことから業績を見直した。ゆうちょ銀行は、通期の最終利益の見通しを従来予想の2600億円から3200億円に引き上げた。かんぽ生命保険の最終利益の予想は560億円。金融2社を合わせた最終利益は3760億円となり、これは持ち株会社、日本郵政の最終利益4200億円の9割近くを占める。

 日本郵政の収益構造は、金融2社が郵便事業を支えるかたちになっている。郵便物の減少が続く郵便事業は、赤字体質から脱し切れていない。

 ゆうちょ銀行の貯金は177兆円(13年12月末時点)で、三菱UFJフィナンシャル・グループの158兆円(同)を上回る。だが、大規模融資は禁じられている。貯金には1000万円の預け入れ限度が設定されており、貯金のほとんどは国債の購入に充てられている。

 世界最大規模の銀行であるゆうちょ銀行の上場には、民業圧迫の批判が強い。金融2社の新規業務は金融庁と総務省の認可を得る必要があるが、金融庁は住宅ローンなど新規業務の認可に慎重な姿勢を崩していない。

 巨艦・日本郵政グループの上場には、いまだに数多くのハードルが立ちはだかっている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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