AKB48・板野友美など、ホリプロ所属のトップアイドルやアーティストのオフィシャルサイト、Facebookページをソーシャルメディアマーケティングの側面からサポートしているモディファイ。そのCEOである小川浩氏は、SNSの原型となるWeb2.0時代の到来をいち早く提言、IT業界のみならず、多くのビジネスパーソンの支持を集めている。そんな“ヴィジョナリスト”が、IT、ベンチャー、そしてビジネスの“Real”をお届けする。
本コラムは、起業予備軍やネットベンチャーにおけるテクノロジー最新事情を知りたい人たちを対象にしている。今回はテクノロジー寄りの話を書こうと思ったのだが、フジテレビ系列のいわゆる月9ドラマ『リッチマン、プアウーマン』(http://www.fujitv.co.jp/richman-poorwoman/)にイラッとしたので、今回も起業家の在り方についての内容にしたい。
愉しい映画『ソーシャル・ネットワーク』
最近、また映画『ソーシャル・ネットワーク』を観た。すでに40回は観ているので、英語字幕で観たのだが、異常なまでの早口なので結局字幕を追うことさえままならない(笑)。それでも、日本語字幕は相当に意訳され、かつ英語のセリフの内容が半分近く削られてしまっているので、英語字幕と俳優たちの台詞を突き合せながら観るのは、英語力のリハビリにもいいし、何よりIT業界の人間でなければわからないような単語やサービス名がバンバン出ていることを、改めて確認して愉しかった。
同作品の監督デビッド・フィンチャーは、とにかくテイク数が多いことで有名だから、カットごとに相当の情報が詰め込まれているので、回数を追うごとに新しい発見があるのだ。
さて、ジャスティン・ティンバーレイク扮するショーン・パーカーが初めて登場するシーンでは、ショーンはワンナイトラブの翌朝、スタンフォードの女子大生の部屋で目覚める。彼がリア充であることを即座に観客にわからせる名シーン(笑)だが、そこでのやり取りの中で、彼が職業を訊かれて、「僕はアントレプレナーだよ」と答える。
すると女子大生は、「Unemployed(失業中)」と聞き間違える。あるいは、ちゃんと聞こえていたかもしれないが、あえてそう聞き返す。ショーンは苦笑しながら「そうじゃない、アントレプレナー、つまり起業家だよ」と繰り返すと、今度は彼女は「じゃあ最近はどんな事業をつくったの?」と、(どうせ何もしてないフリーターのくせに、起業家を気取っているだけでしょ?)というニュアンスを込めて尋ねるのだ。
要するに、アントレプレナーシップにアメリカンドリームを重ね合わせやすいアメリカ、そして西海岸であっても、アントレプレナーは若干胡散くさく、エセ起業家も相当に多いのだろう、そんな彼らに対する軽い嫌悪感が、彼女の言葉と表情からうかがえるのである。
IT、エンジニアを初めて正面から描く
『ソーシャル・ネットワーク』以前のハリウッドは、実はシリコンバレーに対して非常に冷淡だった。映画の中で描かれるプログラマーたちはすべて社会的な良識が欠落したハッカーであり、犯罪に加担するか利用されるだけの存在だった。『ソーシャル・ネットワーク』は、ハリウッド史上初めて、世界を変え続けてきたインターネットを肯定的にとらえ、その急成長を支え続けるエンジニアたちの、若々しい野望や気概を正面から描いた作品なのだ。