(「同社HP」より)
9階ある船内フロアのうち、5階の約300平方メートルにカジノを開設。スロットマシンやルーレットなどを完備している。日本、中国以外の第三国のカジノ事業者が運営し、HTBクルーズの関連企業にテナント料を納める。航路は片道28時間半。このうち10時間程度でカジノを営業できるという。
HTBはパナマ籍の中古船を購入して日本の法律に触れない公海上でのカジノの運営を計画。今年2月29日、「オーシャンローズ」が就航した。とはいえ、スタート時点ではカジノの営業を見送っていた。最初の便は濃霧の影響で長崎発が20時間遅れ、上海発が2時間遅れとなるなど厳しい船出となった。1便300人の利用が目標だったが、目玉のカジノがないことから、平均乗客数は140人と低迷した。
そいて、5月末から7月19日にかけて船内を改装。25日の運航再開からカジノが利用できるようになった。
日本国内でのカジノ営業は禁じられているが、国内法が及ばない公海上でなら営業は可能だ。「オーシャンローズ」はパナマ船籍で、HTBクルーズが設立したパナマの現地法人が所有。公海上ではパナマの法律が適用され、カジノの営業ができる。ただ、日本の領海を航行中はカジノコーナーを閉鎖する。
カジノ船の本当の狙いはHTBへのカジノ誘致にある。カジノ合法化をにらみ、運営のノウハウを蓄積するため、公海上でカジノの営業を始めた。
カジノ誘致に名乗りを上げている自治体は、東京都、大阪府、千葉県、沖縄県などがあるが、HTBにカジノ誘致を目指す長崎県では、官民一体の運動が他都県よりも一歩先行している。
誘致の音頭を取っているのが西九州統合型リゾート研究会(会長=前田一彦・佐世保商工会議所会頭)で、長崎、福岡、佐賀の3県を中心とした156法人・個人で構成されている。同会では6月11日、HTBで定期総会を開いた。出席した超党派の国際観光産業振興議連会長の古賀一成衆院議員(民主党、比例九州)は、同議連がまとめたカジノ合法化のための法案「カジノ区域整備推進法」を今国会に提案する意向を明らかにし、HTBはカジノ設置の有力候補との見方を示した。