●アジア規模で高まるフォルラン効果
フォルラン効果はアジアに目を向けても浸透しつつある。2月25日に韓国の浦項で行われた、アジアチャンピオンズリーグ・グループリーグ浦項スティーラーズ戦を前に、現地紙は、フォルランを写真付きの1面記事で紹介している。同戦を現地で取材した記者は次のように話す。
「韓国では、アジアチャンピオンズリーグの人気は高いとはいえず、動員数が1万人を切ることも珍しくありません。そんな環境の中で1万人を超えるサポーターが観戦に訪れました。スタジアムが最も沸いたのは、フォルランが途中出場した瞬間でした。試合前も『フォルランを獲得できたセレッソが羨ましい』『セレッソは格上のチーム』といった声を多く聞きました。フォルランの存在の大きさ、そして与える影響を、韓国の地でも実感することができました」
●第2、第3のフォルランが来日する可能性は?
フォルランのJリーグ移籍の是非については、サッカー関係者も歓迎する声のほうが大きい。ある関西サッカー協会の幹部は次のように語り、他クラブも大物選手を獲得するきっかけとなることを期待している。
「日本のサッカー界にとっても、大歓迎すべき出来事だと思います。何より、お客様に喜んでもらえるはずです。今後、セレッソを成功したモデルケースとして、それに追随するように大物選手を獲得するクラブが現れる可能性もあるでしょう。また、トップレベルの選手たちがJリーグという市場を少なからず認識するきっかけとなってほしいですね」
今季で所属チームとの契約が切れる大物選手は、カルレス・プジョル(FCバルセロナ)、リオ・ファーディナンド(マンチェスター・ユナイテッド)、アレッサンドロ・デルピエロ(前シドニーFC)等がいる。親日家で知られるファーディナンド、日本でのプレーも視野に入れているという報道があったデルピエロに関しては、Jクラブに加入というシナリオもまったくの夢物語ともいえないだろう。安易なことは承知だが、第2、第3のフォルランが現れることを期待してしまう。ビッグネーム同士が日本のピッチでしのぎを削る日が訪れるのではないか–フォルランの加入は、サポーターにそんな妄想を楽しむという選択肢を与えてくれたことは間違いない。
(文=栗田シメイ/Sportswriters Cafe)