つまり、すでにリアルの世界で有名人か、少なくともネット上での有名人でもない限り、実行金額に達しない可能性が高いのです。
●ソーシャルレンディング
ここで注目したいのが、「ソーシャルレンディング」です。クラウドファンディングとやや似ていますが、プロジェクト成立時にそのプロジェクトの目的であるモノがもらえるとか、サービスを受けられるかたち(購入型クラウドファンディング)ではありません。ソーシャルレンディングは、「お金を借りたい人」と「お金を貸したい人」をネット上で結び付ける仲介型サービスです。
もちろん、知らない人同士のお金の貸し借りですから、ここでは一定の信用を担保するための仕組みが必要です。
そうした仕組みのひとつが、ソーシャルレンディング運営会社が審査し、借り手個人を格付けし、貸し手個人がどの人にいくら、どのくらいの金利で貸し付けを行うかを決定するというものです。もうひとつは、借り手側が借り入れの目的や信用度をアピールし、貸し手側はそれらを判断材料として投資・融資先を決定する方法です。
どんな方法をとったにせよ、お金の貸し借りですから、貸し倒れのリスクはあります。具体的には、返済の遅延や回収不能等が生じた場合、運営会社が督促・回収等の法的手続きを行うことになります。ネットを使うことで、借り手と貸し手のマッチングのコストを下げ、さらに既存の銀行のように多数の行員を抱え、店舗を抱えるようなことをしないで行える仕組みを持つことで、金利を比較的低くしても、貸し手にきちんと利益が残るようにしています。欧米では、2005年にイギリスで「Zopa」、アメリカで06年に「Prosper」、07年には「Lending Club」がスタートしています。日本にも「maneo」「SBIソーシャルレンディング」「AQUSH」「クラウドバンク」などが存在します。
それぞれのサービスは色々な特徴をもち、借り手もさまざまです。例えば「maneo」では、貸し手は借り手が提示する借り入れの目的や事業内容を元に直接選ぶことができ、質問も可能になっています。「AQUSH」では、信用リスクを独自に評価格付けして、投資家は借り手を選ぶのではなく、その格付けと求める金利から投資先(貸付先)が決定します。
借り手も「maneo」は中小企業、「AQUSH」は個人と中小企業(商品によっては、アメリカの法人・個人)、「SBIソーシャルレンディング」はSBI証券に株式を預けている個人という違いもあります。そのほかにも各社不動産担保ローンを手がけてもいます。
●お金の貸し手として
このソーシャルレンディングは、まず投資家、つまりお金の貸し手としての利用方法があります。要は、投資先のひとつとして利用するかたちです。これまでは、小口のお金を貸し付けることは結構、難易度が高かったですが、ソーシャルレンディングの仕組みを利用すれば、1万円程度から始められます。もちろん、そのリターンは利子です。
つまり、多くの人にとっては、株でも、債券でも、銀行預金でも、不動産でもない、新しい投資先のひとつという見方ができます。