LINEが7月31日に発表した14年4-6月期の「LINE事業」の売上高は前期比1.5倍の182億円。売上高以外は非公表だが、証券アナリストは次のように推測している。
「海外での先行投資がかさんでいるので、営業損益は赤字の可能性もある。売上高の大半は国内での稼ぎ。その内訳は無料アプリで利用するスタンプ課金が20%、LINEのオンラインゲーム課金が60%、企業公式アカウントや広告などのスポンサー収入が20%ほど。ユーザの90%を占める海外はまだ先行投資段階であり、収益源になっていない」
●収益源、LINEゲームの力量
では、LINE事業主力「LINEゲーム」の競争力をみてみよう。8月時点で181タイトルのスマホゲームをグローバル展開しているが、調査会社アップアニーが7月22日に発表したアプリストア「アップストア」「グーグルプレイ」を合わせたスマホゲームの世界売上高ランキング(今年6月現在)で、同社は企業別で4位にランクインしている。
上記ランキングの1位はフィンランドのスーパーセル(戦略ゲーム「クラッシュ・オブ・クラン」など)、2位は英キング(パズルゲーム「キャンディークラッシュサーガ」など)、3位はガンホー・オンライン・エンターテイメント(パズルロールプレイングゲーム「パズル&ドラゴンズ」)など、世界の実力ソフトベンダがズラリ。これら強豪を相手にLINEが4位に食いついていることを思うと、LINEゲームは相当な競争力を持っているようにみえる。
だが、証券アナリストは「LINEゲームの売上の大半が国内ではないか」と推定している。実際、アップストアでは国内ゲーム売上高ランキング上位100位中、8タイトルがLINEの提供。中でも人気を集めているのがiPhoneとAndroidの両OS対応である「LINE:ディズニーツムツム」だ。
今年1月から日本語配信が始まった同ゲームは、ミッキーマウスやドナルドダックなどディズニーの人気キャラクターのぬいぐるみ「ツムツム」を使ったパズルゲーム。ゲームは制限時間の1分以内に、3個の「ツム」(ぬいぐるみ)のパズルを繰り返して得点を競うゲーム。遊びの手軽さがユーザに受けている。7月からはディズニー映画のヒット作品『アナと雪の女王」』のツムゲームも配信され、7月29日現在、国内アップストアのゲーム売上高ランキング2位につけるなど、LINEゲームの勢いは止まらない。しかし「内弁慶がたまにきず」(ゲーム業界関係者)ともいえる状態だ。
●海外競合勢との正面衝突
上場による資金調達は、こうした海外での苦境打開の武器になる。登録ユーザ同士の無料通話・メールアプリは、市場での認知度が高まり、登録ユーザ数が一定数を超えると、後は「友達の友達のまたその友達」と普及するが、認知度を高める初期段階ではテレビCM、雑誌広告、イベント開催など巨額の販促費が必要になる。
また、登録ユーザが増え始めるとサーバの増設に追われるなど、設備投資も半端な額では済まない。LINE事業は無料アプリで取り込んだユーザを有料アプリに誘い込み、収益化するまでに巨額の先行投資が必要となるビジネスモデルでもある。