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●財務面での懸念
同社は、この実績を根拠に海外M&A戦略を強化。それを成長エンジンに「既存事業で毎期5-9%のEBITDA成長率」を目指している。だが問題は、海外M&Aで膨れ上がる一方の「のれん」(買収額と買収先企業の時価評価純資産額の差額)だ。公認会計士は「企業買収に伴うのれんは、営業利益の圧迫要因になる」と指摘する。
この指摘通り、リクルートは今期通期予想で、EBITDAの前期比5.7%増の1910億円を見込むものの、営業利益はのれん償却などの影響で同3.0%増の1210億円にとどまる見通し。海外M&Aを加速すると、経営目標のEBITDA成長率は達成できるかもしれないが、のれん償却の増加で営業利益は毎期減益になる可能性も高まる。
大手証券アナリストは「リクルートがM&Aを加速すると『EBITDAは5%以上だが営業利益率は1-2%』の脆弱な財務体質になる。そうなると、市場環境の変化次第で営業赤字の恐れも出てくる」と懸念する。
また、同社OBの中からは「上場で潤沢になった資金を企業買収に費やすのではなく、リクルートらしい起業家精神で新規事業開発に投資し、規模を追う『世界一』ではなく実のある『10兆円企業』を目指してほしい」との声も聞かれる。
上場で新たに浮かび高まってきた、のれんのリスク。これをいかに解決するのか。峰岸社長の手腕が注目される。
(文=福井晋/フリーライター)
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