電撃的スマホ参入のVAIOは、どう戦うのか?市場破壊し、業界トップになる戦略を検証
昨年7月にソニーのPC事業が独立して誕生したVAIOが、2015年1月からスマートフォン市場に参入することを発表しました。ソニーは現在「Xperia」というブランドでスマートフォンを展開していますので、今後VAIOは袂を分かったソニーとスマートフォン市場で直接対決を繰り広げることになります。
リサーチ会社MM総研の調査によれば、日本におけるスマートフォン契約者は、2014年9月末で6248万件に達し、携帯電話端末契約数1億2424万件の50.3%を占めるなど、ついに半数を突破しました。今後も従来のフィーチャーフォンからの切り替えが進み、さらなる市場規模の拡大が見込まれています。そのため、VAIOはスマートフォン市場に参入することを決断したのでしょう。
●想定される戦略
VAIOのスマートフォン事業は、現時点ではNTTドコモの回線を低価格で提供する日本通信と組むという情報以外は謎のベールに包まれていますが、いったいどのような戦略で、競争の激しい同市場で一定の存在感を示そうとしているのでしょうか。
考えられる戦略として、いくつか挙げられます。
まず、1つ目として、パソコンのVAIOで培った圧倒的に高い技術をスマートフォンに持ち込み、米アップルのiPhoneやソニーのXperiaをも凌駕する製品を生み出す差別化戦略が考えられます。ただ、今やスマートフォンの技術は成熟化し、なかなか差別化することが難しい現状を考えれば、この戦略を採用することは大きな失敗のリスクが伴うことも覚悟しておかなければなりません。
2つ目は、VAIOのファンを対象にマニア受けするようなスマートフォンを開発し、ニッチな市場で圧倒的なブランドを築き上げる集中戦略です。今やVAIOは大企業であるソニーから離れて、小さなベンチャー企業として自由な発想でビジネスを展開できるようになりました。このことを考えれば、万人受けはしないエッジの効いた製品を少数の顧客に販売するビジネスにチャレンジすることもできるというわけです。
ただ、最もインパクトのある新規参入戦略は、破壊的イノベーションを起こして、日本のスマートフォン市場で圧倒的なシェアを誇るiPhoneをも抜き去り、業界地図を塗り替えることです。