電撃的スマホ参入のVAIOは、どう戦うのか?市場破壊し、業界トップになる戦略を検証
●破壊的イノベーションとは何か
破壊的イノベーションとは、イノベーション研究の第一人者である米ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が体系化した、イノベーションを起こす1つの手法です。
技術革新が進めば、ある時点から顧客の必要とする機能以上の製品開発が続けられ、顧客は必要としない機能に対してプレミアム価格を支払わなければならなくなってきます。そこで、必要な機能に絞り込んだ端末を圧倒的な低価格で市場に投入することにより、これまで利用したくてもできなかった顧客や高価格に不満を抱いていた顧客を取り込むことが可能となり、マーケットシェアを急速に高めることができるようになるのです。
既存の企業はこのような新興企業の攻勢に対して、残念ながら低価格で対抗することはできません。なぜなら、価格を大幅に下げるとこれまで築いてきたブランドイメージが傷つくことにつながりますし、さらに高コスト体質に陥っている既存企業は値下げによって赤字に転落する可能性もあるからです。つまり、既存企業は対抗したくてもできないジレンマに陥ってしまうのです。そして、結果的に破壊的イノベーターによって市場はなすすべなく破壊し尽くされ、業界地図が塗り替えられることになるのです。
【破壊的イノベーションの仕組み】
実際に中国ではこの破壊的イノベーションにより、まったく予期できなかった事態が起こっています。中国のスマートフォン市場では、一時期韓国サムスンが3割近いシェアを握り、圧倒的なリーダーに君臨していました。ところが、10年に設立されたばかりのベンチャー企業シャオミが中国スマートフォン市場で破壊的イノベーションを起こし、14年の第2四半期にはついにサムスンを逆転して、わずか4年で中国のスマートフォン市場でトップに立ったのです。
●VAIOの4P戦略を検証する
日本においてもスマートフォン市場は技術が成熟化し、破壊的イノベーションが功を奏する環境は整ったといえるでしょう。それでは、VAIOはどのような戦略で破壊的イノベーションを起こすことができるのでしょうか。