この九州北部勢と九州南部にできる金融グループ(肥後銀行+鹿児島銀行+α)が手を組む。福岡銀行以外の九州の地銀がスクラムを組んで、ふくおかFGの対抗軸を形成するというシナリオも浮上している。
西日本シティ銀行グループは第2地銀の豊和銀行(大分市)、南日本銀行、宮崎太陽銀行(宮崎市)、佐賀共栄銀行(佐賀市)を束ねる。銀行の数は多いがそれぞれ問題を抱えていて、どれだけ強力な金融グループになるかは西日本シティのリーダーシップにかかっている。
地銀再編は、九州地銀の盟主である福岡銀行と、それに対抗する第1地銀グループ、第2地銀グループを束ねる西日本シティ銀行に収斂していくという見立てが強い。人口の減少が急ピッチで進み、融資先の企業が急激に減っているから、再編は待ったなしの状態。大分銀行の姫野昌治頭取の言葉を借りれば、「単独で何もかもやる時代は終わった」(14年9月中間決算発表の席上での発言)。生き残るためには、勝ち組のグループに入るしかないのだ。
●カギ握る山口FGの動き
九州の地銀再編でもう1点注視されるのが、九州と同じ経済圏の山口県下関市に本社を置く山口FGの存在だ。山口銀行を核に、もみじ銀行(広島市)、山口銀行が新たに創設した北九州銀行(北九州市)を持つ。11年に山口銀行の九州22店舗を分離・独立させて開業したのが同行で、その後3年間に10店舗を新規出店し、14年3月期の預金量は前期に比べて14%増やした。九州・山口の地銀の中で預金量が2ケタの伸びを記録したのは北九州銀行だけである。山口FGは福岡の本丸である福岡市に間違いなく攻めてくる。
山口FGはもみじ銀行を通じて、広島銀行の本拠地である広島県で貸し出しシェアを伸ばしている。福岡銀行と広島銀行にとって、山口FGは目障りな存在なのである。そこで両行が共同戦線を張って、山口FGを挟み撃ちにするのではないかという噂が飛び交う。福岡銀行と広島銀行はもともと親密な関係にあり、共同持ち株会社のもとで経営統合するという観測は以前からあった。昨年1月に、全国の有力地銀9行が地域再生で連携したが、両行は参加した。
九州・中国地方をまたぐ地域金融グループの誕生への期待が高まっている。広島以西の地域の再編劇の、もう一つの見どころである。関西以西の地銀経営層の間では「福岡銀行と広島銀行が組んだら、そのインパクトはマグニチュード8クラスだ」と警戒する声が強い。
(文=編集部)