九州での地銀再編の起爆剤になったのは、ふくおかフィナンシャルグループ(FG/福岡市)の拡大路線だ。傘下に福岡銀行、親和銀行(長崎県佐世保市)、熊本銀行(熊本市)を持つ金融グループで、3県にまたがる広域統合のモデルケースといわれている。
ふくおかFG入りした熊本銀行の14年9月末の預金量は前年同期比28%増と高い伸びを示し、肥後銀行の地盤を侵食し始めた。福岡銀行は鹿児島県の南日本銀行(鹿児島市)の第4位の大株主となり、鹿児島進出をうかがっている。肥後銀行、鹿児島銀行の両行にとって、ふくおかFGは共通の敵だった。
今回の統合により近い将来、九州には3つの巨大金融グループが誕生する。ふくおかFGの預金量は12.4兆円。長崎銀行(長崎市)を子会社に持つ西日本シティ銀行(福岡市)グループは7.3兆円。そして肥後・鹿児島銀行連合が7.5兆円となり、西日本シティ銀行グループを抜く(いずれも14年9月末の数字)。
次の県境をまたぐ再編は、やはり九州で起こるといわれている。金融グループと単独で走っている銀行との規模格差が広がるため、単独行が否応なしに再編の渦に巻き込まれるからだ。
●3金融グループに再編か
金融業界アナリストは、九州の地銀18行は上記の3金融グループに再編されると予想している。ふくおかFGには、福岡銀行が筆頭株主で頭取を送り込んでいる福岡中央銀行(福岡市)、大分県のトップ行である大分銀行(大分市)が加わる。肥後・鹿児島銀行連合に宮崎県トップ行の宮崎銀行(宮崎市)が合流して、南九州の一大金融グループが発足する。ほとんどの地銀関係者はこう予測しているが、問題はその先である。
九州北部でふくおかFGに対抗している長崎県トップの十八銀行(長崎市)と、佐賀県トップの佐賀銀行(佐賀市)、福岡県南部が地盤の筑邦銀行(久留米市)の3行は株式を相互に持ち合い、勘定系システムはNTTデータに一本化しており、かねてから統合が有力視されてきた。