すでに関東では、地銀首位の横浜銀行(横浜市)が第2地銀の東日本銀行(東京都)と2016年4月に経営統合することで合意。横浜銀が口火を切るかたちで、関東で「玉突き」再編が始まった。
今回は、地銀再編をめぐり注目すべき全国の動きを整理してみよう。
●新幹線、自動車道が縁結び
九州で銀行再編が加速する一因に、九州新幹線の全線開通があるといわれている。博多―鹿児島間を1時間強で結ぶ新幹線はヒト、モノ、カネの流れを大きく変えた。11年に茨城、栃木、群馬の3県を結ぶ北関東自動車道が全線開通する北関東では、筑波銀行、栃木銀行、東和銀行が取引先企業の支援で連携する。15年度には首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の主要部分が開通する見通しで、3県の関係が急速に強まっている。
●注目集まるオリックスの動き
足利ホールディングス傘下の足利銀行は預金、貸出で栃木県内のシェアの4割前後を確保している。足利HDの筆頭株主は野村フィナンシャル・パートナーズ、第2位がオリックス、第5位がジャフコ系のファンドだ。この3社の合計保有株の割合は50%超。足利銀行は北関東の地銀再編のカードである。オリックスが地銀再編で大きな役回りを果たすとの見方も強い。
●インターネット支店での預金獲得競争
合従連衡の大波に乗っているとはいえない北都銀行が、インターネット支店を開設した。増田銀行として発足し、1993年4月に秋田あけぼの銀行と合併。その後、羽後銀行、北都銀行と名称を変え、秋田県内で個人および中小企業との取引を拡大してきた。09年10月、北都銀行と山形県の荘内銀行がフィデアホールディングスを設立。その北都銀が14年の年末に期間限定で6カ月物定期の金利を年率0.5%とし、預金獲得競争を仕掛けた。年利0.5%の定期預金というのはメガバンクの金利の20倍である。香川銀行や荘内銀行のネット支店では1年物定期で年率0.4%だから、北都銀の大盤振る舞いぶりが話題となった。ほぼ同時期に秋田銀行もインターネット支店を開設し、年利0.5%の定期預金を目玉にしていた。