そこで今回は、三井住友銀行元支店長で、現在はアパート6棟とカフェ「SUGER COFFEE」(東京・田園調布)のオーナーを務め、3月に『お金が貯まるのは、どっち!?』(アスコム)を上梓した菅井敏之氏に、普通のサラリーマンがリスクを負わないでお金を貯めるための基礎知識を聞いた。
–消費者金融が広く普及し、利用することへの敷居がますます低くなってきていますが、こうした傾向をどのように思われますか?
さらに、テレビでは有名タレントを起用したカードキャッシングのCMが数多く放送され、街中に消費者金融の大きな宣伝看板が設置されています。以前なら有名タレントが消費者金融のCMに登場することはなかったと思います。明らかに世の中が狂っていて、非常にまずい状況ですが、もちろんCMを中止させることはできません。こうした危機感から、正しい金融の知識をお伝えする目的で本書を執筆しました。
–本書では、メガバンク(都市銀行)の支店長を2店舗歴任されたキャリアから、貸し手の論理についてわかりやすく書かれていますね。
菅井 個人にとってはメガバンクよりも信用金庫を利用したほうがよいということなどを、26年間お世話になったメガバンクの手口を説明しながら書くのですから、本書の執筆に際しては葛藤がありました。しかし、知っていて社会に伝えないことは卑怯ではないのか。そう判断して、本書の執筆に至りました。
–個人利用の場合、なぜ信用金庫との取引のほうがよいのでしょうか?
菅井 社会人にとって20歳から50歳までの30年間が第1ステージで、50歳から80歳までの30年間が第2ステージです。50歳を過ぎたサラリーマンが、年金収入だけでは足りないので定年退職以降も働き続けることを想定した場合、他人に雇われ続けることを考えると気分が暗くなってしまうものです。コーヒーが好きなら喫茶店を開くなど、自分が本当にやりたいことに取り組む人生を目指すのが望ましいと思いますが、開業資金をメガバンクから融資してもらおうと思っても、個人の開業ではメガバンクに相手にしてもらえません。