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今まで流通系PBに対し敬遠気味だった姿勢を、なぜ一転したのか?

食パンの山崎が、セブンやローソンのPB生産に積極的なワケ

文=月泉博/シーズ代表取締役
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食パンの山崎が、セブンやローソンのPB生産に積極的なワケの画像1海外の小売店でもPBが広まっている。(「wikipedia」より)
 小売大手各社が発売するPB(プライベートブランド=自主企画商品)が勢いづいている。日経新聞の調べによれば、大手10社の2012年度PB販売額は、前年より2割増え、2兆円を突破する見込みだという。

 ところで、これまでのわが国におけるPBブームは、不況期に咲くアダ花みたいなもので、好況の到来と共に去り、結局、消費者は大手メーカーのNB(ナショナルブランド)に戻っていくという繰り返しだった。

 しかし今回のPBブームは違う。昨年の東日本大震災による復興特需を契機にした、明らかな消費回復基調の中にあって、PBはしぼむどころか、ますます隆盛をきわめている。

 その背景として、食品メーカーや日用品メーカーなどを主体に、業界でシェアトップの大手メーカーが、積極的に流通系PBの生産に取り組む動きが挙げられる。たとえば食パンなら、業界首位の山崎製パンが、セブンプレミアム(セブン&アイ・ホールディングス)、ローソンセレクト(ローソン)、スタイルワン(ユニー、イズミヤ、フジ)、スマイルライフ(ライフコーポレーション)といった有力PBの生産をかけ持ちで手掛ける、といった具合だ。

 要はそれにより、PBの品質と機能、味が以前より格段に向上しており、消費者もそれを認め始めているのだ。

なぜ大手メーカーがPB生産に乗り出してきたのか?

 それではなぜ大手メーカーが、これまで敬遠気味だった流通系PBの生産に、まるで手のひらを返したように、乗り出してきたのだろうか? 

 その背景には、小売とメーカーの再編スピードの違いがあるとされる。つまり、近年、イオンやセブン&アイ・ホールディングスなどの小売大手は、相次ぐ再編やM&Aによって市場寡占度を強めてきた。それに対して、メーカーは自社ブランドへのこだわりもあり、再編はほとんど進んでいない。その差が、市場成熟化で全体パイが縮小する中、買い手としての小売優位な状況を、急速に強めているのだ。

 とはいえ、欧米諸国に比べれば、わが国のPB浸透度はまだまだ低い。大手スーパーのPB比率は、高いところでも10%前後にとどまる。対する英首位のテスコ、仏首位のカルフールなどでは、そのシェアは50%にも達するといわれる。

 そうしたことからも、わが国でPBがさらに成長するのは間違いなさそう。今後は、食品、日用品のみならず、衣料、住関連、さらには余暇関連商品へとPBの部門拡大が進みそうだ。
(文=月泉博/シーズ代表取締役) 

月泉博/シーズ代表取締役

月泉博/シーズ代表取締役

日本の流通コンサルタント、商業開発ディレクター。株式会社シーズ代表取締役社長、株式会社ドン・キホーテ顧問。
関西学院大学法学部卒業。山一證券、流通誌編集記者などを経て、1991年に株式会社シーズを設立した。商業、流通に関する著述、講演活動、セミナー行っている。著書、論文多数。

『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』 PBは小売りにとってはある種の革命? amazon_associate_logo.jpg

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