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しかし、国際競争の激化とともに、トヨタも日産のような苛烈な値引きを下請けに求めるような場面が増え、下請けのモチベーションは下がった。汎用品に近い付加価値の低い部品は、いくら系列とはいっても、そこから買うことはなくなりつつある。トヨタが推進する設計改革「TNGA(トヨタ・ニューグローバル・アーキテクチャ)」では、そうした動きが一層加速する。トヨタ系の部品企業の再編は避けられないだろう。
繰り返すが、トヨタグループの強みは、親と下請けの間に適度の緊張感がある中、信頼関係や絆があることである。お互いに甘えたり、安易に責任を押し付け合ったりしないという意味でもある。筆者は1995年から20年間、トヨタの動向を観察してきた。このトヨタの過去最高益更新を機に、きれいごとではなく、トヨタと下請けが共存共栄で栄えていく仕組みを改めて考えていく局面にある、と筆者は感じる。そこにトヨタらしく知恵を使って欲しいと思う。多少オーバーな言い方になるかもしれないが、これこそが、日本という国の「もの造り能力」を劣化させないための一つの「処方箋」になるのではないか。
(文=井上久男/ジャーナリスト)
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