3月19日に東京・池袋駅から徒歩4分ほどの場所にオープンした、約100種類の日本酒を自由に楽しめるセルフ飲み放題店舗「KURAND SAKE MARKET(クランドサケマーケット)」が好調だ。
同店は、税抜き3000円で全国各地の日本酒を時間無制限(営業時間は17:00~23:00)に好きなだけ飲むことができ、おつまみ類も自由に持ち込むことができるシステム。さらに入退店も自由で、おつまみがなくなってしまったら近くのコンビニエンスストアなどへ買い出しに出かけたり、酔いが回ってしまったら夜風に当たることもできる。
また、同店はオープン前に支援者から出資金を募るクラウドファンディングを利用し、目標額60万円に対して、それを大幅に上回る292万9300円を集めるほど話題になっていた。オープン後は1日40名分の予約枠が2カ月先まで埋まったり、営業時間前にも30名分の当日枠をめぐって十数人の客が列をなすほどの人気ぶりだという。
利益よりも市場を活気づけるのが目的
あまり見かけないスタイルの飲食店だが、なぜこのような形態の店をオープンしたのだろうか。同店の店舗責任者であるリカー・イノベーションの営業・イベント企画部統括リーダー、荻原章憲氏は、その狙いを次のように語る。
「もともと弊社は酒類の小売業などを行っています。その中で、東京ではあまり手に入らない日本酒を月替わりでお客様にお届けする『定期購入サービス』があります。これは『全国にはおいしい日本酒がまだまだあることを皆様に知っていただきたい』という気持ちから始めたものです。さらに、あまり日本酒を飲んだことがない若者にも日本酒を楽しんでもらえるように、『KURAND~』をオープンいたしました」
つまり、利益を得ることよりも、日本酒業界を盛り上げることを目的にしているというわけだ。
「とにかく日本酒に興味を持ってもらうことが第一だと思っています。サイバーエージェントが提供するクラウドファンディングサービス『Makuake』を利用したのも、開業資金を集めることよりも、『こんなお店をオープンします』という告知の側面が強かったといえます。実際、出資していただいた方には無料招待券などの特典を用意していたので、資金としてはそれほど多くは残っていません。しかし、目標額の約5倍の資金が集まったのはうれしい誤算で、日本酒に興味がある方が数多くいらっしゃると確信しました」(同)
さらに目標額である60万円をたったの2日で集めたことからも、注目度の高さがうかがえる。クラウドファンディングによるPR効果は大きかったといえよう。