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史上稀な“徴税天国”
さらに見逃してはならないのは、財務省・国税庁にとっても、マイナンバー制度を普及させることに大きな利益がある点だ。というのは、要所要所でマイナンバー制度の利用を拒めない仕組みを構築することで、財務省・国税庁は、所得から消費・貯蓄まで国民一人ひとりの経済活動を詳細に把握できる仕組みを手に入れることになるからだ。税務当局にすれば、史上稀な“徴税天国”を実現できるのである。
だが、納税者にとってほとんどメリットのない軽減税率制度の導入を隠れ蓑にして、消費増税と徴税強化のマイナンバーカードの普及を目論むというのは強欲すぎる。中国発の世界経済危機がこれから本格化するとみられるなかで、日本経済の潜在成長力の低下を避けるためには、企業が内部留保を溜め込む一方で実質賃金を増やさない家計いじめは、これ以上禁物である。
指導力を発揮できるのは、やはり首相官邸だろう。来年夏に参議院議員選挙を控え、先の総選挙の時のように民意に問うかたちで消費増税を先送りするという切り札を持っているからだ。財政再建のためには増税先送りは許されないが、それをある種のブラフに使えば、さすがの財務省も譲歩して、もう少し実のある軽減税率導入案を用意するのではないだろうか。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
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