韓国の国会内で、昨年末時点で政府や公共機関・企業・家計・自営業者が負っている全体負債総額は4781兆5000億ウォン(約478兆1500億円)ということが明らかにされた。国民1人当たりに換算すると9446万ウォン(約945万円)程度の借金をしているということになる。
ちなみに日本の借金額は、今年3月末時点で国民1人当たり約830万円といわれており、大きな差はないようにみえる。だが、韓国の経済情勢は極めて深刻だ。国家財政だけでなく、経済の原動力となる家計や企業の借金も増え続けている。国内総生産の約8割を占めるともいわれる10大財閥の不振が大きな影を落としている。
輸出、内需共に不振で、若者の失業率も10%前後で高止まり、中東呼吸器症候群(MERS)の感染拡大への政府の対応は国民の不信を高める結果となった。中国の人民元切り下げや株価暴落、米国の利上げなども韓国経済の悪化に拍車をかけた。いまや国民の不満は爆発寸前だ。
さらに、従来の統計では国の借金にカウントされない「隠れ借金」の存在も指摘されており、韓国国内の大手シンクタンクが分析したところでは、負債総額は政府が発表した額の3倍に上るといわれている。その指摘が事実であれば、韓国のデフォルトは現実味を帯びてくる。
国際格付け会社ムーディーズは、韓国国内では3年連続で負債の利子よりも営業利益が少ないにも満たない「限界企業」が急増しており、銀行資産も危険な状態にあると警告した。昨年末の時点では、国債の格付けや国家競争力で日本を上回る評価を得ていた韓国だが、急速に悪化する経済状況はかなり逼迫している。
高齢者の自殺が増加
経済の悪化に伴い、国民が未来に絶望し始めていると危惧する声も高まっている。
韓国ではここ数年、高齢者の貧困が深刻化している。古来、長男が家と親の資産を継ぎ、親の面倒をみる風習があったが、現代では核家族化が進み、親の面倒をみる子供は激減。特に資産の少ない親は見捨てられる傾向にある。