市場は好感「日銀新総裁に黒田氏起用」 読売はみんなの党の反発に懸念
(「Wikipedia」より)
日本政府の為替介入、円安誘導を懸念する声が各国から上がる中で、注目を集めている日銀新総裁人事。先週23日、朝日新聞が一面トップで「日銀総裁黒田氏を軸に調整」と報じた通り、政府は翌24日、元財務官でアジア開発銀行(ADB)の黒田東彦総裁(68)を日銀新総裁に起用する人事案を固めた。本日25日の各紙が、これを大きく取り上げている。
「黒田氏、組織運営に強み国際人脈、財務官時代から」との見出しで、ポジティブな見方を示しているのは、新人事案を他紙に先駆けてすっぱ抜いた朝日新聞。記事によれば、黒田氏は財務省やADBで見せてきた「組織人」の顔とともに、財務官として通貨政策を取り仕切っていた99年、円高を食い止めるために為替介入を実施、英フィナンシャル・タイムズ紙に金融政策の転換を求める論文を起稿するなど、「緩和論者」としての顔を持っている。国際的な人脈も広く、海外から厳しい目を向けられるアベノミクスについて、理解を促すという面でも期待がかかる。
日経新聞は、副総裁に起用される岩田規久男学習院大教授、中曽宏日銀理事について大きく取り上げた。岩田氏は、大胆な金融緩和で緩やかなインフレをおこして、景気を立て直すことを主張する「リフレ派」学者の代表格。同紙は「20年以上にわたって日銀を批判し続けてきた。『アンチ日銀』派の正副総裁への起用で、日銀に金融政策の抜本的な転換を迫る構えだ」としている。
また、中曽氏は「政策委員会には中央銀行の実務に精通した日銀出身者が最低1人は必要」(同紙)との日銀の要請に、政府側が理解を示すかたちで起用すると見られる。同紙によると、中曽氏は、欧米の政府や中央銀行関係者から一目置かれる国際派。語学も堪能で、2006年から国際決済銀行(BIS)の市場委員会で、日本人として20年ぶりの議長を務める。リーマン・ショック時にドル資金の大量供給などの緊急対策を取りまとめた金融実務のエキスパートとして、「眠らぬ市場の番人」の異名をとっている。これらの人事案が報じられたことで、市場では積極的な緩和策への期待感が再燃。ロイターによると、25日の外国為替市場で、ドルが2010年5月以来の高値となる1ドル=94.77円を付けた。
同じく25日の東京株式市場は大幅続伸で始まり、一字上げ幅は220円を超え、1万1600円台に乗せている(産経ニュース)。
またブルームバーグも東京株式相場の上昇を大きく取り上げており、人事案への好感とともに、先の日米首脳会談で日本が環太平洋連携協定(TPP)交渉入りへの前進を果たしたこともその一因だと分析している。日銀首脳の交代をきっかけに、加速する円安で輸出企業は利益増、株価も上がり景気も回復! ……と、事がうまく運ぶかどうかは、まだわからない。
読売新聞はふたつの懸念を指摘している。