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日銀は11年続いた「異次元金融緩和」からの「出口」に当たり、上場投資信託(ETF)の新規購入の停止を決めた。主要中央銀行でETFを通じ、民間の株式を購入してきたのは日銀だけ。37兆円(簿価ベース)に膨らんだETFの処分は今後の大きな課題だが、一気に売却すれば、株価急落の引き金になりかねず、解決策は見えてこない。
日銀は2010年からETF購入を始め、13年の異次元緩和で買い入れ額を急拡大。23年9月末の保有額は簿価で37兆円、時価で60兆円に達した。事実上、株価を下支えしてきた異例の政策は、日銀が多くの国内企業の「大株主」となり、株価形成にゆがみが生じるなど副作用も指摘されてきた。
過去「爆買い」してきた国債とETFについて、植田和男総裁は19日の記者会見で「異次元緩和の遺産で、当面残り続ける」と説明。ただ、償還の満期が到来すれば自然と減っていく国債と違い、満期のないETFは売却しない限り、保有量は減らないという問題を抱える。
ETF処分について、植田総裁は21日の国会答弁で「ある程度時間をかけて検討したい」と表明。さらに「市場にかく乱的な影響を与えることを極力回避する」とも強調した。市場では、保有ETFを政府系金融機関に移管し、運用益を成長投資に充てる案などが浮上している。
一方、日銀が追加利上げを進める場合、金融機関から受け入れた当座預金への利払い負担が増加し、財務の悪化は避けられない。このため、日銀が受け取るETFの「分配金」の一部を損失に備えた引当金に充てる案もある。22年度の分配金収入は1兆1000億円。ただ、政府への国庫納付金が減るため、財務省との協議が必要となる。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/03/21-17:23)
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