「米大統領選はロムニーの勝利」と見出しを打ち、「今回のアメリカ大統領選がオバマの公平論とロムニーの自由論の戦いであるならば、自由論が勝つに決まっている。ロムニーのような人物が大統領として政治の中枢に座ることは、アメリカにとって大きなプラスである」というのは、12年10月に出版された『2013 長谷川慶太郎の大局を読む』(長谷川慶太郎/李白社、ビジネス社)だ。このように、経済予測の大御所である長谷川氏までもが大ハズレの予測を行っているのだ。
長谷川氏の経済予測本は毎年、出版されている。13年9月に出版された『2014 長谷川慶太郎の大局を読む』(同)では、14年1月のFRB新議長としてサマーズ元財務長官の名前を挙げ、再び大ハズレ予測を行った。
実際にFRB新議長に就任したジャネット・イエレンFRB副議長やティモシー・ガイトナー前財務長官などの名前も列挙した上で、「私はサマーズが次のFRB議長に就任すると思う。前述したように今のまま量的緩和を続けていくとFRBが世界最大のアメリカ国債のオーナーになる。それは、やはりどこかで止めなければならないが、難しいのは量的緩和を縮小するタイミングとテンポである。それを最もうまくできるのはサマーズだろう」との見解を示した。確かに、直前までサマーズが本命視されていたことは事実だが、2年連続の大ハズレは残念すぎる。
長谷川氏は同書で日本経済についても触れ、「アベノミクスは成功する。その最大の理由は安倍という人物が、前回の安倍内閣とまったく違う判断の下に思い切った政策を講ずるだけの決断力と正確な情勢判断力を発揮しているからである」とする。
「安倍政権の正確な情勢判断力」を論じる側の「情勢判断力」に疑問符がつき始めているが、長谷川氏に太鼓判を押されたアベノミクスは大丈夫だろうか。
(文=松井克明/CFP)