夏が近づくにつれ、ウナギが店頭で目立つようになってきた。注目はここ数年ウナギ登りだったその価格だろう。
ニュースサイト「SankeiBiz」の5月24日付記事『ウナギ高騰一転、一斉値下げ 稚魚豊漁 国内仕込み量倍増』によれば、「高騰を続けてきたウナギの価格が、今年は低下しそうだ。冬から春にかけて取れるウナギの稚魚(シラスウナギ)の不漁が続いていたが、今年は漁獲高が大幅に回復。日本鰻輸入組合によると、国内の(養殖池で育てる稚魚の)仕込み量は前年比約2倍の約25トンに達した。安い稚魚を育てたウナギが出始めるのはこれからだが、供給が大幅に増えるのは確実だ。昨年まで値上がりしていたスーパーのかば焼きやウナギ専門店のうな重が今夏、一斉値下げに転じる可能性がある」という。
「稚魚は昨年まで4年連続の不漁で、30トン近くあった国内の仕込み量は12トンまで激減した」が、「今年は前年比で倍増した。中国でも約14倍の約41トンと急増しており、台湾、韓国なども含めると70トンを超える豊漁となった」
取引価格が全国の価格に影響するといわれる「一色うなぎ漁業協同組合」で、今年初めて池揚げされたウナギの取引が始まったが、注目された価格は1キロ(4匹)当たり5000円前後。2000円前後で推移した例年に比べると価格は約2.5倍だった。
しかし、「安い価格で仕入れた稚魚から育ったウナギが今後入ってくることを踏まえると今が高値。6月以降はかなり下がる」と関係者は予想。7月29日の「土用の丑(うし)の日」には手頃な価格にまで下がることが期待できる。
一方、5月29日付毎日新聞記事『ウナギ:稚魚の国内養殖量が復活 うな重は安くなるか』では、ウナギの価格は簡単には下がらないとの見通しを示している。
「(国内養殖量は)過去最少だった昨年の約2倍を確保した。稚魚の取引価格も下落しているが、安くなった稚魚が成長して消費者に届くまで半年以上かかる。消費がピークを迎える7月の『土用の丑の日』までに、お値打ちのウナギが店頭に並ぶかは分からない」
ここ数年、仕入れ価格の上昇を販売価格に転嫁しきれず、売り上げも減っている。千代田区内神田のウナギ専門店の店主も「仕入れ価格が下がったとしても、しばらく様子をみたい」と話しているという。
●中国産は安いが危険だらけ
確実に安くなりそうなのは、中国産ウナギだ。高値で取引された稚魚が原料となっている中国産ウナギのかば焼きを持つ卸業者などが値崩れに巻き込まれないよう販売を急いでいる。実際、5月の大型連休明け以降、都内のスーパーでは1匹1000円を切る中国産ウナギのかば焼きが出始めた。
しかし、中国産ウナギには注意したい点があると指摘するのは『日中食品汚染』(高橋五郎/文春新書)だ。中国をはじめとする諸外国の農村調査歴40年という愛知大学教授の著者は、ウナギは薬に汚染されやすいと指摘する。