●IPOブーム再燃?
新規公開株とは、企業が新たに証券市場に上場した株のこと。上場によって企業は資金を不特定多数から調達でき、投資家は証券会社を通じてその株を自由に売買できるようになる。上場時の公募価格は会社の業績や資産内容などを勘案して決められるが、一般的に低めに算出される傾向があるため、新規公開株が上場されると市場での初値(実際の取引価格)は公募価格を上回るケースが多く、利益を得やすいとされる。
この新規公開株について藤原氏は「プレジデント」(プレジデント社/12月1日号および12月15日号)にも寄稿している。
「(新規公開株は)応募自体は無料で行えることもあり殺到しがちだが、高倍率の抽選に当たりさえすれば、かなりの確率で利益を得られたことから、『無料の宝くじ』と呼ばれたのだ。実際、新規公開株がブームになった2003年末から05年にかけては、抽選に当たれば儲かるというおいしい状況だった」(同記事より)
藤原氏はこのブーム時に150万円ほど、そして13年からは200万円を稼いだ。例えば13年6月、iPS細胞の研究・創薬支援、臨床検査事業を手掛けるリプロセルの新規公開株に応募した際のことを次のように記している。
「リプロセル株を100株32万円で購入した際、上場3日目についた初値はなんと178万円。結局、160万円ほどで売却したので、約130万円の利益を挙げられた」(同記事より)
ここにきて新規公開は増加傾向にある。13年に新規公開を行った企業は54社だ。公募価格で購入できるお金さえあれば、ますますチャンスが広がるのだ。しかし一方で、公募割れする(市場での初値が公募価格を下回る)ケースもある。
「13年に唯一公募割れしたウィルグループの新規公開株に当選した。公募価格2870円に対して初値2750円。初値がつくと同時に売ったので傷は浅くて済んだものの、ババを引いてしまった」(同記事より)
14年も10月末時点までに45社が上場したものの公募割れは10社に上り、なんでも儲かるという環境ではなくなってきたのは事実だが、ブーム再燃ともいわれているので押さえておきたいキーワードである。
(文=松井克明/CFP)