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両決定が、原子力事故が起きた時に泣き寝入りする人を出さないための損害賠償制度の再構築、使用済み核燃料や汚染物質が長期間にわたって原発の敷地内に放置されることになりかねない問題の処方箋づくりといった争点に踏み込まなかったことは、残念としかいいようがない。
こっそり原発存続にお墨付き
政府は、「世界最高レベルの規制基準に基づいて、原子力規制委員会が審査して安全が確認できた原発は再稼働をする」と繰り返すばかりで、避難計画や賠償制度、使用済み燃料・汚染物質の処理といった厄介な問題を先送りしたまま、強引に原発再稼働を進めている。近く決定する地球温暖化ガスの削減計画でも、実際は15基程度の存続を念頭に置いているにもかかわらず、どの原発を候補に何基残すかを明確にせず、「原発はベース電源」という表現で、こっそり原発存続にお墨付きを与える方針だという。
三権分立というからには、司法には、こうした行政の危ういレトリックを検証する役割を担ってほしいと期待するのは、筆者だけではないはずだ。
福島第一原発事故のような未曾有の事故が現実に起きたのだ。司法が、過去の判例を金科玉条として、専門性の高い原発の分野の技術的な問題には踏み込まないと自らに制約を課すのは決して好ましいことではない。
しかし、だからといって技術的な問題で隘路にはまり込み、大局を見失った判断を下すのも、国民の期待を裏切る行為にほかならない。そのことを、司法には肝に銘じてもらいたいものである。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
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