最初で最後のももクロ出演、大森靖子らの夢のソロステージ…TIFはいかにして始まったか
第1回2010年の衝撃、ももいろクローバーの躍進
2010年の第1回TIFは、現在の東京・お台場ではなく、東京・品川で開催された。そこでの出演から一気に次のステージへと駆け上がっていったのが、ももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)だろう。そのメインステージで披露された彼女たちのアンセム・ソング「走れ!」は、これがグループとして最初で最後のTIF出演だったこともあり、そして、特に大サビにおける百田夏菜子の感情のこもった表情をありありととらえた映像が残り(それは、テレビ放送を前提とする機材が入ったがゆえに実現したものであった)その後多くのファンを魅了し続けたこともあって、いまだにTIF史上に残る名演として語り継がれている。
一方で、世間の注目を一身に浴び、グループアイドルとしてスターダムに立ちつつあったのが、AKB48である。第1回TIF開催と同じ夏に「ヘビーローテーション」をリリース、“国民的アイドル”のポジションを確立しつつあった彼女たち。TIF開催の前年に「AKBアイドリング!!!」としてコラボユニットを組んだという経緯を持つTIFのホスト役アイドリング!!!はその後、AKB48と自身らとの“格差”をしばしば自虐的に語ってみせていた。
この初年度のTIFの観客動員数は、約5000人であった。
地方アイドルにスポットが当たった2011年~2014年
2011年の開催第2回以降は、東京・お台場のフジテレビ湾岸スタジオ周辺に開催場所を移し、心臓部ともいえるフリーのオープンスペース「SMILE GARDEN」や、屋上の絶景ステージ「SKY STAGE」が誕生。動員数も右肩上がりに伸びていくことになる。ここで存在感を見せたのが、同年に発生した東日本大震災の被災地であった仙台を拠点に活動していたアイドルグループ「Dorothy Little Happy」(以下、ドロシー)だ。
1日目のステージが評判を呼び、2日目にはその口コミによって集まったファンが詰めかけ、いわゆる「TIFで見つかった」という現象を起こす。同じく仙台を拠点としていたテクプリやParty Rockets、関西からはJK21、キャラメル☆リボン、いずこねこ、Dancing Dolls、Especia、新潟からNegicco、RYUTist、中部からしず風&絆~KIZUNA~、OS☆U、愛媛からひめキュンフルーツ缶、北海道からはJewel Kiss、九州からはLinQ、CQC’s、GALETTe、広島からまなみのりさ、SPL∞SH、沖縄のLucky Color’s、山梨のPeach sugar snow等々、ドロシーをきっかけとして地方アイドルの出演は増え、西日本/東日本くくりでのステージが作られるなど、大手芸能プロには属さない地方のアイドルグループが一堂に会する場として、この時期のTIFは熱い視線を浴びることとなる。48グループからは、初参加となった名古屋のSKE48(2012年に初出演)、福岡のHKT48(2013年に初出演)も、この時期に相次いで参戦している。
今ではEXILE陣営の一角として女性ファンを多く獲得しているE-Girls(2012年に初出演)が、アイドルマーケットをターゲットにTIFに出演していたという歴史も、現状から振り返れば実に味わい深い。この年代の貴重なアクトとしては、後に海外に活躍の場を広げていったBABYMETAL(2011年に初出演)も挙げられよう。