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学芸会のようなチープさ
同ドラマはTBSが『半沢直樹』を意識していることを公言しているだけに、『半沢直樹』と比べられることは覚悟の上のドラマ。第3話までで『小さな巨人』に軍配を上げる視聴者はいるのだろうか。主演の長谷川博己がサラサラとしていていまいち熱量に欠けることはいうまでもないが、第3話を見て『半沢直樹』に追いつけないほかの要素も気になってしまった。画面全体に、溢れ出す熱気というのか、力がないのだ。
虐げられたトップ、悪に立ち向かう正義の元で、仕事の意味や自分の存在意義を見いだしていく部下たちの輝きが、脚本だけで成立していて、役者陣の演技から滲み出てこない。演技に熱量がなければ、画面に熱量が出るはずがない。長谷川と安田の背後で学芸会が繰り広げらているようなチープさが漂う。
それに比べると、香川照之、安田顕はたった一人で画面を熱気で埋め尽くしてしまう。決して大げさに演じているからではなく、感情表現にリアリティがあるからだと感じる。『半沢直樹』の場合、キャストの隅々に渡るまでこの熱気が感じられた。『小さな巨人』はキャスト陣の演技の熱量の差が大きすぎる。長谷川を中心とした本当の一致団結が見られれば、何かが変わるのではないだろうか。
(文=西聡美/ライター)
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