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『貴族探偵』に演出家変更の好影響?クオリティも視聴率もアップ!悔やまれる初回のコケっぷり

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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『貴族探偵』に演出家変更の好影響?クオリティも視聴率もアップ!悔やまれる初回のコケっぷりの画像1『貴族探偵』公式サイトより

 嵐の相葉雅紀が主演する月9ドラマ『貴族探偵』の第3話が5月1日に放送され、平均視聴率は前回から0.8ポイントアップの9.1%(関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。

 麻耶雄嵩氏の小説を原作とした今作は、自らは推理をせず、使用人に謎解きを任せる「貴族探偵」(相葉)の活躍を描くドラマ。今回は、女子高生の遥(橋本環奈)から事件解決の依頼を受けた高徳愛香(武井咲)がバラバラ殺人事件の謎に挑んだ。推理の結果、真相まであと一歩のところに迫った愛香。だがその推理には重大な穴があり、最終的には貴族探偵の使用人・山本(松重豊)が真相を解き明かした――というおなじみの展開となった。

 初回と第2話については、脚本・演出・演技のすべてに対して「ひどいレベル」としか思えなかったため第3話も期待していなかったが、これが同じドラマとは思えないほど良くなっている。

 特に冴えわたったのが、一見するとスキのない愛香の推理を貴族探偵側がひっくり返す、2段構えの推理劇。視聴者に提示されている証拠を基にした愛香の推理には説得力があり、論理にも破たんはない。普通のドラマならこれで事件解決である。だが、このドラマは同じ証拠を基に貴族探偵側がまったく別のストーリーを組み立て、事件の真相にたどり着く構造になっている。

 これは、謎解きをひとつしか用意しなくてよい一般的な刑事ドラマや探偵ドラマなどに比べて格段に難しい。どちらが正しくてもおかしくないトリックを2つ用意しなければならないからだ。第3話の原作には愛香の登場シーンはなく、したがって愛香が謎解きを披露する場面もない。つまり、愛香の推理をはじめ、ドラマオリジナルによるところが大きいというわけだ。これは称賛に値する。視聴者からも「このドラマは二重の展開を予想しながら見るので2倍おもしろい」といった声が上がっている。

 ウケをねらいすぎてすべっていた演出も第3話ではおとなしく、ほどよいさじ加減になった。酷評されていた相葉の演技もこなれてきたのか、やや自然に見えるようになった。それどころか、誤った捜査をした警察官に詰め寄るシーンでは怒りをあらわにし、人を射貫くような眼つきで相手を見据えた。視聴者からは「見慣れてきたのか相葉の力が抜けてきたのか、前回までよりもいい感じ」「誤捜査をした刑事たちに謝罪を要求するシーンでの相葉の迫力がすごかった」「表情や立ち居振る舞いが回を追うごとに堂々として、高貴な感じさえ漂っている」などの賛辞が続々と上がっている。

 このように、第3話にしてガラリとテイストが変わり、ドラマとしての質もグンと上がったことについて「演出家が変わったから」と見る向きもある。今作には3人の演出家がいるが、初回と第2話を担当したのはN氏で、第3話を担当したのはK氏。もしその分析が当たっているとしたら、今後も演出家が変わるたびにドラマの出来が乱高下することになる。第2話で視聴率が急降下したことを踏まえると、第3話で見せたクオリティを初回で視聴者に見せられず、作品離れを起こさせてしまったことが、かえすがえすも惜しい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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