連覇を狙う青山学院大学か、それとも出雲駅伝優勝の東海大学か――。“2強対決”が予想されていた11月5日の全日本大学駅伝は、ダークホースの神奈川大学が優勝をさらい、正月の東京箱根間往復大学駅伝競走(通称:箱根駅伝)は大激戦の予感が漂ってきた。
箱根の本番まで残り約50日。ここから学生ランナーたちは本格的に「箱根仕様」のトレーニングにシフトしていくことになるが、どんな戦いが予想されるのか。全日本の結果を踏まえて、「箱根の見方」をお教えしたいと思う。
第94回大会となる今回の箱根は、4連覇を目指す青学大、「スピード駅伝」と呼ばれる出雲を制した東海大、全日本で20年ぶりの優勝を飾った神大の“3強”を軸に展開されることになるだろう。そのなかで序盤に“超強力カード”を切ってくるのが、神大になる。
1区は1万mの神大記録(28分29秒43)を保持する山藤篤司(3年)が濃厚で、2区には「学生ナンバー1」の呼び声高い鈴木健吾(4年)がスタンバイしているからだ。前回は1区山藤が5位で滑り出すと、2区鈴木が日本人歴代5位の1時間7分17秒と快走して、トップに立っている。
7月に左股関節を痛めた鈴木は「8割ほどの状態」(大後栄治監督)で、全日本8区(19.7km)を日本人歴代2位の57分24秒で走破。東海大・川端千都(4年)と青学大・鈴木塁人(2年)に1分30秒以上の差をつけた。鈴木健吾は最後の箱根で、2区の日本人最高タイム(1時間6分46秒)の更新を狙っており、東海大と青学大の両校に2分近い大差をつけられるだけの爆発力を秘めている。
加えて神大は他区間の戦力も整いつつある。前回は3区で早々と首位を明け渡したが、前回3区(区間15位)の越川堅太(2年)は、全日本5区で区間賞を獲得するなど大きく成長した。1万m28分台の記録を持ち、前回6区を担った鈴木祐希(4年)を往路に回すプランもある。神大は2区までの「貯金」を生かして逃げ切る作戦で、20年ぶりの総合優勝を目指す。