妻を平気で傷つける行状を小塚さんが続けた一因に、想像力の欠如もあるかもしれない。こういうことをしたら相手がどう思うかとか、相手が傷つくのではないかということに考えが及ばない。いや、そもそも考えてみようともしない。こうした想像力の欠如は、フィギュア界で純粋培養され、ある時期までは輝かしい実績を残してちやほやされてきたせいだろう。
このように芸術やスポーツなどのちょっと特殊な世界で純粋培養され、その世界でトップになるためにそれ一筋できた人は、順調なときはいいが、一度壁にぶつかると打たれ弱い。これは、自己愛の傷つきに弱いせいで、“エリート”“サラブレッド”などと呼ばれる人によくあることだ。小塚さんもその典型であり、ソチ五輪の代表落選という挫折を乗り越えられず、タガが外れたように夜遊びにはまったのだと思う。
羽生結弦選手にしてもそうだが、怪我や敗北などの挫折を乗り越えたアスリートだけが栄光を手にできる。小塚さんがソチ五輪の代表落選で受けたショックはたしかに大きかったと思うが、その次の五輪出場を目指して頑張るという選択肢もあったはずなのに、逆に夜遊びにはまったのは、アスリートとして甘いのではないか。また、2017年7月に「氷上復帰」を宣言してアイスショーに出演するようになったものの、夜遊びのせいで体重が増えているらしいが、プロ意識が欠如しているといわざるをえない。
私が小塚さんに厳しいのは、もともとストイックなアスリートが好きで、「ゆづ君命」の羽生選手ファンだからかもしれない。ただ、それを差し引いても、小塚さんの行状は未熟と評するしかなく、これから一朝一夕で改善するとは到底思えない。
大島さんがフジテレビの人気アナという地位を捨ててまで小塚さんと結婚したのは、やはり惚れたからだろうが、惚れ込みというのはだいたい対象の過大評価である。平たくいえば「あばたもえくぼ」ということで、結婚しても夜遊びをやめない夫を「あばた」として見られるようになり、さすがに愛想が尽きたというのが正直な気持ちではないか。
それでも、小塚さんは、妻にさじを投げられていることに気づいていないように見える。「妻は僕のファンだから許してくれるだろう」くらいに甘く考えているのではないか。猛省を促したい。
(文=片田珠美/精神科医)