ビジネスジャーナル > エンタメニュース > 吉田沙保里「真実ではない報道」  > 2ページ目
NEW

吉田沙保里、引退会見で「真実ではない報道」「一番つらかった」と明かしたこと

写真・文=粟野仁雄/ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, ,

父・栄勝さんの存在

 吉田ロンドン五輪(2012年)で三連覇した時、マット上で娘に肩車されて喜ぶ姿が印象的だった栄勝さんは、14年3月11日に伊勢自動車道を運転中、くも膜下出血で急死した。車体には中央分離帯にこすった跡があったが一番左側に止まっていた。意識が薄れゆくなか、必死に左側に寄せて止めた車の中で息が絶えていた。見事に事故を防いだのだ。

 号泣する吉田を脇に、栄氏は「沙保里の課題は結婚です。お父さんいったい何やってたんだ、と言いたいですよ」と涙ながらに話していた。

 吉田が国民栄誉賞を受賞した頃、津市の自宅で両親を取材したことがある。栄勝さんは「(山本)聖子は強かった。娘はなかなか勝てなかった」ともっぱらレスリングの話ばかり。「まだまだ教えたい技があるんだ。負けたら終わりですよ。これまでの実績なんて全部パアですから。やるからには勝ち続けろ、と言ってます」。にこりともしない。すさまじいスパルタの片鱗がうかがえた。娘の結婚については「外国人がいい。日本の男より骨格がよく強いレスラーが生まれるから」と語り、これには呆れてしまった。

 それでも五輪3連覇した時の印象的な肩車の話には相好を崩した。「栄監督と2人で俺を肩車するのかと思ったら、娘が後ろから頭を突っ込んで一人で持ち上げてきた。景色がよく見渡せたよ」と振り返った。体重50キロ余の女性が80キロの男を手も使わずにたやすく肩車する恐るべき力。何しろ彼女の背筋力は200キロと、男顔負けなのだ。

 結婚願望を包み隠さない娘について「あの子はなんの隠しごともないんです」と話す幸代さんは「子供のように激しく泣いたかと思ったら、次の瞬間ケロッとしている。それが娘の強さでしょう」と分析する。

「オンとオフの切り替えが早く、何をやっても集中力がすごかった。自転車でも買ったらすぐに走っていた。ゲームセンターのUFOキャッチャーでも釣り上げるまで人を寄せ付けない雰囲気でした」とも話してくれた。「レスリングに関係ない」と父が習わせてくれなかったが、ピアノもあっという間に覚えたという。

 今後は、現場指導を含めて選手たちの精神的支柱になり、テレビ出演などでレスリング界の広告塔的に活躍することだろうが、持ち前の集中力をいかんなく発揮し、そして「女の幸せ」をつかんでほしい。
(写真・文=粟野仁雄/ジャーナリスト)

吉田沙保里、引退会見で「真実ではない報道」「一番つらかった」と明かしたことのページです。ビジネスジャーナルは、エンタメ、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!