地上波民放ドラマへのレギュラー出演歴のない“地味ヒロイン”たち
最近では、『わろてんか』(2017年・後期)の葵わかなが『ブラックペアン』(TBS系)に、『半分、青い。』(2018年・前期)の永野芽郁が『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)に出演したように、朝ドラ主演女優にとって定番コースといえるのが、番組終了直後の民放連続ドラマへのレギュラー出演である。
そんななか、番組終了直後はおろか、その後も地上波民放の連続ドラマへのレギュラー出演経験がゼロの朝ドラヒロイン女優も存在する。
そのひとりが、『甘辛しゃん』(1997年・後期)の佐藤夕美子だ。8歳の頃にミュージカル『アニー』のオーディションをきっかけに芸能界入りした彼女は、平成屈指の地味系ヒロインといえる。朝ドラ後は、現在に至るまで、テレビ、映画、舞台のいずれかに年に1本出るか出ないかというペースで女優業を続けている。それも、メインキャストではなく端役、ゲスト出演がほとんど。近年は、同じ事務所がマネジメントする原田知世の出演作に顔を出すというパターンが多い。
2度の出産を経験し、現在は結婚相手の実家のある山梨県に居住しているという事情もあるようだが、朝ドラヒロインとしては、その活動はやはりなんとも地味である。
ちなみに、朝ドラへの里帰りとなる『半分、青い。』(これも原田知世出演作)での教師役ほか、計3本のテレビドラマに出演した2018年は、朝ドラ終了から20年で、彼女がもっとも派手に活動した年だったといえよう。
また、『さくら』(2002年・前期)の高野志穂も、民放連続ドラマのレギュラー出演歴がない地味系ヒロインだ。映画にはときどき出ているが、広く知られた作品への出演はなく、宮藤官九郎の映画初主演作『福耳』でのヒロイン役が目立つ程度である。
そんな高野志穂にとって、現在のホームグラウンドは舞台だ。大小の劇場での公演に年に1~2作ペースで出演し、この4月にも「早稲田小劇場どらま館」での『砂の女』の公演が決まっている。
ちなみに、彼女の私生活でのパートナーは、舞台を中心に活躍する俳優の北村有起哉でであり、彼女もどっぷりと舞台人になっているということなのだろう。
といっても、テレビドラマへのゲスト出演は頻繁にあるし、「ファンケル」など複数のCMにも出ている。実はそれが朝ドラヒロイン女優だと気づかずに、彼女の顔をたびたび目にしている人が多いかもしれない。