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『パーフェクトワールド』ファンから共感の嵐→反感の嵐に…視聴者から総ツッコミ浴びる事態

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 松坂桃李が主演を務める連続テレビドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)の第7話が4日に放送され、平均視聴率は前回より0.2ポイント減の6.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことがわかった。5.8%だった第2話を除けばすべて6%台で推移しており、視聴者が固定していることがうかがえる。

 このドラマは、大学時代の事故で下半身が不随になった建築士の鮎川樹(松坂)と、高校時代の同級生・川奈つぐみ(山本美月)が繰り広げるラブストーリーだ。ただ、2人は互いが相手を思いやるあまりに「自分がいないほうが相手にとって良いのでは」との思いが高まり、第5話のラストで別れてしまった。その後、川奈は自分にずっと片思いしていた幼なじみの是枝洋貴(瀬戸康史)と付き合い始める。

 だが、ドラマの中で是枝が当て馬であることは見え見えであり、最終的に鮎川と川奈が元の鞘に収まることは既定路線であるはず。それだけに、いかに視聴者を納得させるかたちで「川奈が是枝と付き合うものの、やっぱり鮎川のところへ戻っていく」というストーリーを描くかが制作陣に問われているといえる。

 残念ながら、第7話はその期待に応えることができなかった。完全に川奈がヒール(悪役)になってしまい、視聴者の共感を得るどころか反感を買う存在になってしまったのだ。

 別れたはずの鮎川に仕事を頼もうとして事務所を訪ねたところは、まだわかる。ビジネスの話だからだ。だが、依頼主である高木夫妻の状況を説明する体を取りながら、鮎川をチクチクと責め立てたのはいただけない。彼女の発言を要約すれば、「あなたは私を気遣って別れたつもりかもしれないが、そのおかげで私は不幸になった」「高木夫妻は同じような状況に負けなかったのに、私たちはあなたのせいで負けた」と暗に言っているようなものだった。是枝と付き合うことにしたわりに、ずいぶん未練たっぷりだし、鮎川を悪者にして自分は悪くないといわんばかりの態度が鼻につく。

 そもそも、別れた元カレの事務所をいきなりしれっとした顔で訪ねる神経がわからない。鮎川の同僚たちのほうが「気まずい」と騒いでいたが、それが普通だと思う。川奈は周囲の人の気持ちを考えられないのだろう。

 さて、鮎川に未練たっぷりな言葉をぶつけた川奈だったが、なぜかその直後に是枝のプロポーズを受け入れる。ところが、当然ながら心がまだ揺れていることを是枝にも見抜かれてしまう。「つぐみの中が俺ひとりになるまで待つわ」と懐の深いところを見せる是枝に、「ごめん、ヒロ。ごめんね」と答える川奈。「いやいや、否定しないのかよ」と思わずツッコんでしまう。

 プロポーズを受け入れた以上は、そこは嘘でも「私が愛しているのはヒロ(=是枝)だけだよ」と言うべきではないのか。何をバカ正直に答えているのだろうか。「無理してない? ほんとは樹(=鮎川)のことまだ引きずってるんじゃないの?」と心配してくれた友人・雪村美姫(水沢エレナ)にも「これで良かったんだ。これでみんな幸せになる」と自分に言い聞かせるように答えた。どう見ても、無理やりそう思い込もうとしている人の発言である。

 そんな中途半端な気持ちのまま、川奈は是枝と一緒に自身の両親に結婚の報告に行ったり、式場を探したりと結婚の準備を進める。その一方で、一緒に仕事を進めることになった鮎川にも必要以上に親しく振る舞い、付き合っていた頃のような態度で接する。もう「どうなっているんだ」と言いたい。視聴者からも「つぐみにイライラした」「人としてどうかと思う。周囲の人の気持ち踏みにじりすぎ」「絶対割り切れてないのに、ヒロに失礼だと思わないのかね?」「是枝に行くなら、二度と鮎川に戻らない覚悟で行ってほしい。これで『やっぱり鮎川くんが好き!』だったら非常に萎える」と、批判が殺到した。

 最終的には川奈と鮎川がくっつく展開になるのだろうし、そうでなければドラマとして成立しないとも思うが、ヒロインが自分の感情のままに周囲の人々を傷つけ、その末に自分は幸せになりました――というストーリーが、視聴者の支持を得られるとは思えない。ここから軌道修正したとしても取り返しがつかないくらい、このヒロインは人間としてダメなことをしてしまったのではないだろうか。脚本のやりすぎ感が否めない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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