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「Thinkstock」より
減量や糖尿病予防のために使われている人工甘味料で耐糖能異常が起きるという研究結果が報告され、話題を呼んでいる。耐糖能異常とは、血糖を下げるインスリンの働きが悪くなり食後の血糖が上昇する状態で、前糖尿病状態と考えられる。
体重や糖尿病が気になる人は、「カロリーオフ」や「カロリーゼロ」と表記された商品をつい手に取ってしまう。
しかしイスラエル・ワイツマン研究所のエラン・エリナフ博士らの研究チームは、一般的に使用されているサッカリン、スクラロース、アスパルテームなどの人工甘味料は、カロリーがゼロであっても耐糖能異常を起こすことをマウスとヒトの実験で証明した。
研究チームは、砂糖をカロリーのない人工甘味料に替えても体重が減少しない原因を長年追求してきた。そして原因を検証するためのマウス実験で、実際に人工甘味料を与えた群で耐糖能異常が観察されたのだ。人工甘味料の大半が吸収されずに腸に到達することから、腸内細菌に注目し、マウスに抗生剤を与えて腸内細菌を一掃したところ、耐糖能異常は起きなかった。さらに人工甘味料を投与したマウスの腸内細菌を移植すると、耐糖能異常が再現できた。研究チームが人工甘味料を投与したマウスの腸内細菌の組成を調べると、より肥満や糖尿病を発症しやすい組成に変化していた。
ヒトでも同様のことが起きているのだろうか?
研究チームは、7名の健康な男女を対象に、アメリカ食品医薬品局(FDA)が定める1日当たりの最大摂取量の人工甘味料を5日間摂取した後に耐糖能異常を調べた。その結果、7人中4人に耐糖能の著しい低下が認められ、腸内細菌の構成に大きな変化が認められた。
糖尿病や肥満を予防するためには、これからは砂糖だけではなく人工甘味料も避けたほうがよさそうだ。
(文=白澤卓二/医学博士、順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授)
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