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飛田砂織「100年寿命時代のウェルネスビーイング」

女性ホルモン「エストロゲン」が肌の美しさを左右する…肌の老化を抑える知識

文=飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士

ホルモンのバランスが美しい肌を生む

 エストロゲンは、皮膚のなかでも繊維芽細胞といわれる細胞に働きかけ、コラーゲンやヒアルロン酸、ムコ多糖を増やします。また、加齢により減っていくコラーゲンの分解を抑えます。これにより、皮膚の厚みを保ち、保水力を高め、老化に伴う皮膚の萎縮を抑制することが知られています。

 また、日本の研究者の報告では、ラットで顔の皮膚を用いてエストロゲン、特に作用の強いエストラジオールについて調べたところ、顔の皮膚自体でもごくわずかながらエストラジオールをつくっている可能性が示されました(※3)。また顔の皮膚自体にはエストロゲン受容体のうち、α(主に子宮や卵巣に分布するといわれていた)が主に分布していることがわかりました。

 この皮膚のエストラジオールの推測量は、エストロゲンを局所で生理周期と関係なく一定量つくっていると推定される海馬に比べると少ないですが、顔の皮膚自体でもごく少量のエストロゲンがつくられている可能性があり、卵巣からの血流にのってくるエストロゲンとともに、皮膚に作用していることが推測されています。

 つまり、経験的に生理が終わってから排卵までの卵胞期には肌の調子が整うことが多いですが、これは卵巣からくるエストロゲンによる肌へのポジティブな影響が大きいと思われます。

 性ホルモンはコレステロールからつくられ、女性ホルモンも男性ホルモンも細かく調整されながらカスケードをつくっています。エストロゲンは女性にとってもっとも大切で、美しい肌をもたらしてくれるものですが、それだけでなく、女性ホルモンのうち黄体ホルモンであるプロジェステロンや、男性ホルモンのテストステロンも、ごく少量作用することで女性の肌を美しく保つのに貢献している可能性があります。

 ホルモンから肌を考えた場合、これらのバランスから美しい肌がつくられるともいえます。

(文=飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士)

【参考文献】

(※1)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19751829

(※2)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21812527

(※3)

https://www.cosmetology.or.jp/research_report/archives/2015/fullVersion/Cosmetology%20Vol23%202015%20p71-77%20Kawato_S.pdf

飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士

飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士

美容皮膚科医・アンチエイジング医師 医学博士
東京女子医科大学附属成人医学センター非常勤講師(美容皮膚科)
群馬大学医学部卒業。東京大学などの救命救急センターで救急医として働いた経験や、激務で肌のトラブルを経験したことから、健康を保つための予防医療、美容皮膚治療の大切さを痛感。
日本初のレーザーなどの美容皮膚治療に特化した大学附属の美容皮膚科、東京女子医科大学附属青山女性医療研究所美容医療科(現在は成人医療センターに移転)助教(のち非常勤講師)を経て、2015年に、自らのクリニック、美容皮膚科・アンチエイジングクリニックである『クリニックシュアー銀座』を開設。

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