医師が教える、インフルエンザに罹らないための「簡単な日常生活術」
インフルエンザの流行は11月から始まり、12月から翌年3月(特に1月)がピークというのが例年の傾向である。
去る11月15日、厚生労働省から11月4~10日にかけて全国の約5000の病・医院でのインフルエンザ患者の数が1医療機関あたり「1.03人」となり、流行の基準である「1.0人」を上回った、「例年より1カ月早い流行」と発表された。10月4日に国立感染症研究所から発表された「流行レベルマップ」でも、「インフルエンザの流行は、今年は例年より1カ月早い」と同様の発表がなされている。
インフルエンザの感染経路は、以下のとおりである。
(1)インフルエンザウイルスは雑踏の中、電車内などに空中浮遊しているので、それを吸い込む
(2)患者のくしゃみ、咳を直接、鼻、口腔に浴びる
(3)ウイルスが付着した手、服、ドアノブ、電話、スマホ、パソコンのキーボードなどを介して、自分自身や第三者の口や鼻に感染する
感染後2日目くらいになると、以下の症状が現れてくる。
(1)くしゃみ、空咳
(2)のどの痛み、頭痛、関節痛
(3)悪寒、発熱(しばしば39.0℃以上)
(4)だるさ、倦怠感
予防としては、「ワクチン接種」が医学的に勧められるが、自分自身でできる対策としては、以下が挙げられる。
(1)マスクの常時着用
ウイルスの侵入をブロックするほか、鼻やのどの粘膜の潤いを保ち防御力を高める
(2)手洗い、うがいをこまめに行う
(3)加湿器の利用
湿度に弱いインフルエンザウイルスが生存しにくい湿度にする
(4)紅茶の愛飲、紅茶でのうがい
苦み成分「テアフラビン」(紅茶ポリフェノール)はわずか数十秒で殺インフルエンザウイルス(A型、B型ともに)作用を発揮することが解明されている。テアフラビンはミルクタンパク質と親和性があり、その効力が失効するので、ミルクティーよりストレートティーがおすすめ。ビタミンCは殺菌、殺ウイルス作用があるので、「レモンティー」はさらによい。
(5)チューインガムをかむ
唾液には口内の洗浄作用があるほか、唾液の中には「IgA(免疫抗体)」や「ラクトフェリン(抗酸化作用)」「リゾチーム(細菌の細胞壁を分解する酵素)」など抗菌・抗ウイルス物質が多く含まれる。食事をするときにはよくかんで唾液の分泌をよくしてあげるほか、食事以外のときもチューインガムをかむとよい。