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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

飲酒で顔赤くなる人、毎日飲むと「がん発生率」急増…赤くならない人も危険、どうすべき?

文=新見正則/医学博士、医師

 では、非常識君のように顔が赤くならない人は、アルコールの量に制限はないのでしょうか。この研究は食道と喉のがんに関して、顔が赤くならない人は少々飲んでも、顔が赤くなる人がお酒を控えた場合と差はあまりありませんよ、という結論です。

正しい飲み方

 アルコールは基本的に蓄積毒です。人が一生に飲めるアルコールの量は決まっているといわれていますが、その量をあらかじめ正確に知ることはできません。アルコールを飲みすぎると、肝炎から肝硬変、そして肝がんなどで死亡します。つまり食道や喉に限っては大した問題ではない顔が赤くならない人の飲酒も、肝臓そのものに対する危険はあるのです。

 肝臓は8~9割の機能がなくなってようやく不具合が認められるともいわれます。生体肝移植では自分の肝臓の約半分を切り取って、そして移植用に提供します。こんなことをしても、提供者の肝機能はそれほど問題ありません。つまり、結構な予備能力が肝臓にはあるので、「沈黙の臓器」などともいわれます。

 極論君は45.9グラムのアルコールを飲むという主張ですが、その線引きもひとつの基準で、実は人それぞれなのです。そして、45.9グラムを正確に量ることも結構面倒です。何より、そんな飲み方ではお酒もおいしくありません。

 結論は、深酒しないように、アルコールを楽しみながら少々いただくことが、「酒は百薬の長」ともいわれる所以だと思います。アルコールは蓄積毒ということを念頭において、ご自身の体と相談しながら、それぞれの適量の範囲で楽しみましょう。結局、常識君の言う通りです。
(文=新見正則/医学博士、医師)

新見正則/医師、新見正則医院院長

新見正則/医師、新見正則医院院長

外科専門医 /消化器病専門医 /消化器外科専門医 /消化器内視鏡専門医
慶應義塾大学医学部卒業後、外科医として研鑽を積む。大学病院や関連病院で診療にあたるほか、英・オックスフォード大学にて博士課程を修了。
新見正則医院 公式サイト

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