近年、燻製(くんせい)にはまる人が増えている。もともと燻製といえば保存食のイメージが強く、食べるにしても専門店で買ったり、専門の料理店で味わったりするイメージが強かった。しかし、最近は自家製の燻製を楽しむ人なども次第に増えており、関連の書籍やマンガ、家電なども発売されており静かなブームになっている。
一般的なイメージでいえば、燻製は肉や魚を煙でいぶすなどして、長期間保存できるようにすることが目的だ。しかし、保存食という役割ではなく、独特の香りや風味を味わいたいという向きも多く、関連する飲食店なども数年前から都内でも増えている。さまざまな肉や魚、ソーセージ、チーズ、和食、カレー、無国籍料理にいたるまで「燻製」と名のつく料理を提供する店は多い。
「自分でつくってしまおう」という人向けにも多彩なグッズが用意されている。インターネットを検索すると、「手づくり燻製キット」なるものが多く出回っているほか、段ボールを使った燻製用のスモークハウスや、専用のポットなど関連グッズも豊富に揃っている。
こうしたグッズは通販でも買えるものが多いので、アウトドアや自宅で気軽に燻製に挑戦することができる。燻製にとって肝心な「香りの素」になるスモーク・ウッドやスモーク・チップも種類が豊富になり、量販店や通販でも気軽に買えるようになってきた。環境が整ってきたのである。
スモークする食材はあらゆるものが可能で、肉や魚以外の変わったところではコーヒーやナッツ、バナナ、トマト、ゆで卵などもできるという。これから夏に向けて冷たいビールや発泡酒などのおつまみとしてもよくあいそうだ。
便利なアイテムが続々
そしてスモーク需要に対応した家電なども登場している。パナソニックは「部屋で手軽に燻製が作れるロースター」と銘打って、スモーク&ロースター「けむらん亭」(オープン価格)を業界で初めて開発、昨年秋から発売している。煙を分解する触媒フィルターなどで煙やにおいをほとんどカット。折からの燻製ブームで人気商品となっている。
関連本も多く出ている。扶桑社は4月上旬、燻製をめぐるライフスタイルを紹介したムック本『燻製ライフ』を発売し、先日都内でパナソニックと共同で燻製に関するワークショップを開いた。編集者や料理研究家などが参加したワークショップには、平日夜にもかかわらず多くの参加者がつめかけ、関心の高さをうかがわせた。訪れた人は、最近の燻製をめぐる多方面のトレンドなどについて熱心に耳を傾けていた。