「家を片付けよう!」と思って、まず収納グッズや整理収納本を買うと失敗する理由
春といえば引っ越しや模様替えも多い季節ですね。5月に入ると引っ越しは一段落を迎えていますでしょうか。そして、新たな期が始まると同時に、何か新しいことを始めようと思われる方も多いのではないでしょうか。新しい趣味の開始や自分へのルール決めなど、1月に決めていた「今年こそ」と思っていたことを、改めてこの春からのスタートにしてしまおう! と思われた方も多いと感じます。
新たな期が始まると、少し気持ちがワクワクして何かに挑戦したくなりますね。気持ちは前向きなのですが、何かが混乱しているときはないでしょうか? 何かスッキリしないと感じること。もしくは、混乱している状況に気づかれない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
新たなことに挑戦しようと思い、始めようとすると、何かしらの物が増えていきます。増やすのは簡単なのですが、これまで蓄積してきた物をリセットする必要があります。お部屋の中を見回してください。これまでがんばってきた蓄積や途中で手つかずになってしまった物などが、部屋の一部を占拠していませんか?
そして「やり残し」が残った蓄積は案外と部屋の中でも占領していることがあります。この春は「これにトライする!」と楽しい目標設定ができた場合には、それに向かうための環境づくりが大切です。そうでないと、さまざまな物に目移りがしてしまい、気持ちも分散してしまいます。決めたことがシンプルに、目につくように、自然と暮らしの一部になるようにしなければいけません。
習い事の道具、食べ物の変化、趣味を変えたり、植物を育ててみたり――。何をスタートさせるにも、新しいことをスタートさせたり、再開するには一度「リセット」をかけることで気持ちもまっすぐそちらに向くように思います。
整理を始めると、これまで挑戦してきた物がどんどん出てきます。語学勉強をスタートさせた、教科書やCDなど(これは最近アプリなどにもなりつつあるので、そのあたりも整理が必要です)。また、ダンスや絵画、楽器、お料理、ゴルフやテニスなどなど、新たなことをスタートさせると同時にさまざまな道具を集めています。定期的にやりたいことが変わることは当然のことです。情報がどんどん増えているのですから、興味が湧くことも増えます。
ただ、継続していないということは自分に合わなかったので、身につかなかったというより、入ってこなかったという感覚ですね。それを新たに再開するかどうかは、とても先の話かもしれません、「もったいない」ではなくて「少し違ったかも」という気持ちをシンプルに受け入れられることが、次へのステップにつながるかもしれません。
生活導線を見直す
例えば、料理を習ってたくさんの料理道具やレシピ本を購入し、レシピの切り抜きもたくさん保管してありますね。でも、それらを「使わなければ!」と思いながら、出番がなくて可愛そうな場合もありますね。
お料理はさまざまなパーツから成っています。その一つが「暮らし方」です。暮らしの中で「料理」をどのように活かし、どのように馴染ませるか、日常になるかということです。これまでは料理に手間をかけない生活スタイルだったとすると、料理を活かせる生活スタイルに変える必要があるかもしれません。
お家の中の生活導線も見直しが必要で、収納も出しやすくて戻しやすい場所を確保し、必要な道具を整理する必要があると思います。そしてお料理をして、お片付けをする必要がありますので、その導線も見直すところがあるかもしれませんね。一連の動作を通じて、ひとつでも料理を楽しめる環境をつくることがポイントになってきます。
お料理の場合にはさらに、美味しく食べられるテーブルのしつらえや、グッズも多数ありますので、興味の幅が広がればどんどんと物は増えてきます。そんなときに家の中は、これまでの物を「リセット」つまり「整理」ができていなければ、物がどんどんと増えるばかりです。
スポーツを始めて家で行える筋トレグッズを購入しては、部屋の隅でホコリがかぶっていたら、当面使わないでしょうから、一度サヨナラするのもひとつ。でも本気で筋トレを復活するのであれば、その物に目が行くように、部屋の環境を整える「リセット」をかける必要がありますね。
春は新しいことにチャレンジしたい季節です、それはとっても良いことですね。まずは身近なところから整理に着手して、これまで挑戦してきたことを掘り起こす作業から始めるのも一つかもしれませんね。
「整理収納」もその一つですね、「この春からは整理ができる人になる!」と気合を入れて、書店に駆け込み「整理収納」の本を購入しないようにしてくださいね。以前購入した本がすでに家の中にあるかもしれません。そして、新しい収納グッズを買いに走る前に、一度家の中で途中になった物を減らすことから始めることができれば大丈夫です。それで「整理ができる人」が始まっています。
(文=小林朗子/整理収納コンサルタント)